松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『夏草の賦』(読書メモ)
司馬遼太郎『夏草の賦(上・下)』(文春文庫)
ひさしぶりに司馬遼太郎の小説を読んだ。司馬作品の中では、スピード感のある短めの小説が好きである(長編になるとどうも冗長な感じがする)。
「夏草の賦」の主人公は長曾我部元親。戦国時代、四国を平定して天下取りを目指すものの、秀吉に敗れ、土佐一国の大名に封じられる。その後、関が原の合戦に負けて、長曾我部一族は歴史の表舞台から消えてしまう。
司馬さんは、主人公を魅力的な人物として描写するのがとてもうまい。小さいころは争い事が嫌いで「女の子のようだ」と言われていた元親が、家督を継いでからは「四国の虎」と呼ばれる勇猛な武将となる。元親のユニークな性格が生き生きと描かれている。
印象に残ったのは「臆病こそ知恵のもと」という元親の考え方。
50から100人を率いる将であれば「勇気」のみもっていればよい。しかし、総師たるもの勇気と同じ量の臆病さがなければ細心の知恵がわかず、敵の心理状態も察することができない。
「勇にはやりすぎている心の状態では敵の詐略がわからず、思わぬわなにかかる。よき臆病心をもたねばならぬ」という。
これは、企業経営にも通じる考え方である。長い期間にわたり高業績をあげている企業のトップは、常に危機感を持っている。この危機感は、良い意味の臆病と関係していると思う。
しかし、元親は、四国征伐の夢が破れた後、自信過剰となり、他人の言うことを聞かなくなる。「おれのみが正しい」と自己崇拝に陥ってしまう。
最も怖い敵は「うぬぼれ」である。成功した後も、よき臆病心を持ち続けることは難しいのだろう。
ひさしぶりに司馬遼太郎の小説を読んだ。司馬作品の中では、スピード感のある短めの小説が好きである(長編になるとどうも冗長な感じがする)。
「夏草の賦」の主人公は長曾我部元親。戦国時代、四国を平定して天下取りを目指すものの、秀吉に敗れ、土佐一国の大名に封じられる。その後、関が原の合戦に負けて、長曾我部一族は歴史の表舞台から消えてしまう。
司馬さんは、主人公を魅力的な人物として描写するのがとてもうまい。小さいころは争い事が嫌いで「女の子のようだ」と言われていた元親が、家督を継いでからは「四国の虎」と呼ばれる勇猛な武将となる。元親のユニークな性格が生き生きと描かれている。
印象に残ったのは「臆病こそ知恵のもと」という元親の考え方。
50から100人を率いる将であれば「勇気」のみもっていればよい。しかし、総師たるもの勇気と同じ量の臆病さがなければ細心の知恵がわかず、敵の心理状態も察することができない。
「勇にはやりすぎている心の状態では敵の詐略がわからず、思わぬわなにかかる。よき臆病心をもたねばならぬ」という。
これは、企業経営にも通じる考え方である。長い期間にわたり高業績をあげている企業のトップは、常に危機感を持っている。この危機感は、良い意味の臆病と関係していると思う。
しかし、元親は、四国征伐の夢が破れた後、自信過剰となり、他人の言うことを聞かなくなる。「おれのみが正しい」と自己崇拝に陥ってしまう。
最も怖い敵は「うぬぼれ」である。成功した後も、よき臆病心を持ち続けることは難しいのだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )