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『カラマーゾフの兄弟』(読書メモ)

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟(1~5巻)』光文社

本書を読み始めたのが今年の正月。1巻目は数日で読んだが、2巻目に7ヶ月かかってしまった。途中で諦めかけたが根性で読み進めたところ、3巻目からは面白くなりスムーズに最後までたどりついた。

さて、内容だが、「世界最高の文学」と言われるほどの感銘は受けなかったものの、心にずしんとくるものがあった。

貪欲で淫乱な父親ヒョードル・カラマーゾフが、乱暴者の長男ミーチャと、お色気たっぷりのグルーシェニカをめぐって争っているところに、頭脳明晰だが冷酷な次男イワン、純粋な三男アリョーシャ、ずるい料理人スメルジャコフ、自己中心的な女性カテリーナなどが絡んでくる物語である。

全体を通して感じたのは、登場人物それぞれが、人間が持ついろいろな「欲」や「罪」を代表しているような性格であること。彼らは自分の醜さを自覚しており、何とか清い人間になりたい思っているけれども、どうしても罪深い行動をとってしまう。

個人的に感動したのは、粗暴なミーチャと子悪魔的なグルーシェニカが純粋な心で結ばれる第3巻。

全体的に人間社会の「闇」や「汚さ」が描かれているのだが、その中に「希望」を感じさせる小説だと思った。

ちなみに、今、訳者の亀山郁夫さんが書いた「ドストエフスキーの生涯」(第5巻目についている)を読んでいるが、これがまた面白い。
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