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オレの役割

30年続いている『釣りバカ日誌』の原作者である「やまさき十三」さんの記事が、10月19日の朝日新聞に掲載されていた。

やまさきさんは、毎月給与がもらえるサラリーマンに憧れ、採用試験をうけたがすべて落ちたらしい。大学卒業後10年間はフリーの助監督をしていたとのこと。その頃、趣味で釣りをはじめたら、編集者から「釣りの話を書いてみないか」と声をかけられた。

漫画のコンセプトは「仕事より釣り」という人間を極端な形で書くこと。

やまさきさんの次の言葉が心に残った。

「ある夜、電車に乗ったら、一杯飲んだ30代のサラリーマンが「ビッグコミックオリジナル」を読んでいた。「釣りバカ」が巻頭カラーで載っていて、僕は気恥ずかしさと読み過ごされたらという不安で見ていたら、クスッと笑った。うれしかった。サラリーマンが一日の仕事に疲れて一杯飲んで、電車の中で雑誌を広げた3分か4分の間にクスリとさせる。一つの仕事としての、オレの役割はあるんだなあ、と思った。」

多くの人は「何のためにこの仕事をしているんだろう」と自問することがあるのではないか。そして、自分の役割を実感できる瞬間を持てる人は幸いである。

30年も連載を続けていられるのは、自分の役割をしっかりと認識しているからなのだろう、と思った。
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