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10年は勉強

住友商事では、若手社員に対する過度の実力主義を見直し、「10年間は勉強の期間」として位置づけるらしい。つまり、10年間は無理に差をつけず、11年目から一斉に管理職となり本格的な競争に入る。なお、新人の9割は寮に入り、先輩や同期と寝食をともにしながら濃い人間関係を築くという。

まるで職人世界における「徒弟制度」のようだ。宮大工を育てている「斑鳩工舎」の小川氏も「うちは10年は勉強」と言っている。こうした考え方は学習理論と一致するものである。認知的な学習理論では、「認知的徒弟制」という概念があり、職場コミュニティの中で知識・スキルを習得していくことが重要であるとされている。熟達論では、どんな世界でも一流になるには10年間の準備期間が必要であることがわかっており、この間に「よく考えられた」練習をつむことが大切である。

住友商事の方針転換は妥当であると思うが、最初の10年間にどのような経験を積ませるか、その基本デザインが必要になるだろう。

出所:日経産業新聞2008.4.22
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