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「君たちはどう生きるか」(読書メモ)

70年にわたり読みつがれている超ベストセラー「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著、岩波書店)を読んだ。本学のフランス語教授である高橋純先生が推奨されていたからである。

主人公のコペル君は中学二年生(コペル君はあだ名)。学校でのいじめやけんかなど、ありふれた出来事がつづられているのだが、読んでみて驚いた。「世界をどうみるか、世の中にはどのような問題が存在するか、どのような姿勢で生きていくべきか」について非常に深い洞察を含んだ内容である。読み進むにつれて、自分を取り巻く世界について、そして自分自身について考えることを迫ってくる。

コペル君が体験したことを、彼の叔父さん(といっても20代前半の人)が、こっそりとノートに解説していくという構成になっている(このノートは後でコペル君も読むことになる)。かいつまんで言えば、次の点に気づかされた。

人は自分中心の見方をしている
自分の体験から考えたことが本当の思想になる
損得抜きでつきあっている人間関係が美しい
人間らしい暮らしができない人々がたくさんいる
人は他人の過ちを制裁する資格があると思い上がっている
どんな英雄も世界の大きな流れには逆らえない
痛みや苦しさは、身体や心が正常でないことを知らせてくれる大事なサイン

などなど。「世界について、自分について」改めて考えるのに格好の本である。

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