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技術継承と吸収力

製造業の現場では、高いレベルの技術を持つベテラン工が退職するにともない、技術を継承する試みが活発化している。

変速装置大手のエクセディでも、新製品開発に伴う金型設計や工法開発を一手に引き受けてきたスーパー技術者が退職する2年前、技術継承のためのチームが発足した。チームメンバーは、一定の経験を積んだ40代の中堅技術者三人。継承は、手取り足取りの指導ではなく、普段の仕事を通して行われる。

なぜ20代、30代の技術者がメンバーにならないのか?40代の技術者といえば20年の経験を積んだ人たちだ。その理由は、達人技術者の言葉が理解できるだけのレベルでないと、技術を吸収することができないからだ。

例えば、40代の技術者が加工した金型に問題が生じた。それを一目みた達人技術者が「ここが気にならへんの?」と一言。そのアドバイスの真意をすぐに理解できるのは、20年の経験を積んできた中堅技術者に一定の技術力があるからだろう。

知識の移転や共有の決め手は、受けて側の吸収能力にあることを示す事例である。

出所:日経産業新聞2008年4月8日号
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