先日、仏ボルドーのクリュ・ブルジョワ・デュ・メドックのプレゼンテーションが、メドック・クリュ・ブルジョワ連盟副会長Olivier Cuvelier氏により都内で開催されました。
"Cru Bourgeois du Medoc" New Logo
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは、仏ボルドーのメドック地区の赤ワインの公式セレクション認定制度です。
現在の公式セレクション認定制度は2009年から公式に承認されています。
ボルドーのメドック地区には第1級から5級まで61の格付けシャトーがあることで知られていますが、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは、それとはまた別のセレクションになります。
2012年ヴィンテージは267シャトーがクリュ・ブルジョワ・デュ・メドック公式セレクションで認定されています。
最新のヴィンテージは2013年ですが、今年はパリでの発表が遅かったために海外へのお披露目が間に合わず、今回は昨年9月に発表された2012年ヴィンテージが日本での最新ヴィンテージということで紹介されました。
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックの公式セレクションは、2012年ヴィンテージで5回めになります。
2012年ヴィンテージは、267シャトーの2900万本がクリュブルジョワに認定されました。
2900万本は、メドック総生産量の30%になります。
対象のアペラシオンと267シャトー数の内訳は以下の通り。
ACメドック 111、ACオー・メドック 92、ACリストラック・メドック 14
ACムーリス 15、ACマルゴー 9、ACポイヤック 5、ACサンテステフ 21
※シャトーリストは公式HPで見ることができます
http://www.crus-bourgeois.com/
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは赤のみのセレクションです。
というのも、この地域の白ワインは、ACボルドーになってしまうからです。
例えば、あの有名なシャトー・マルゴーの白ワイン“パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー”もACボルドーですからね。
認定ワインにはロゴマーク入りの公式ステッカーが貼られます。
このステッカーが付いているワインは、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック品質、真正性、産地保証がされているワインということです。
ステッカーはボトルネックやバックラベルなどに付いています
ステッカーはビジュアル認証データ管理システムが採用されていますので、スマホなどのスキャン機能でQRコードを読み取り、公式サイトにアクセスしてワインやシャトーの詳細情報を得ることができます。
これは便利!
セレクションの歴史、選考基準などは、昨年詳しく書きましたので、こちら を参考にしてください。
今回は、2012年ヴィンテージ情報、食とのマリアージュ、最新の動きを取り上げます。
オリヴィエ副会長
「2012年のメドック地区は難しい年だった」、とオリヴィエさんは言います。
春が寒く、なかなか暖かくならなかったので、ブドウが実りにくかったのです。しかし、秋が近くなってから気温が上がり、インディアンサマーの様相となり、10月は暑くなりました。
いつもと違う特殊な年で、オリヴィエさんのシャトーは例年より二週間遅い10月11~15日に収穫したそうです。また、メルロはよく育った年だそうです。
さて、いよいよ試飲です。
いつもはワイン単体を試飲するだけにとどまりますが、今回は食と合わせました。
フォアグラのポワレ ポルト酒のソース
Ch. Rollan de By 2012 (Medoc) / Ch. Charmail 2012 (Haut-Medoc)
メルロ主体の丸みあるタイプ(左)も、強くてしっかりしたタイプ(右)もフォアグラに合います。ポイントはポルト酒のソースですね。
オリヴィエさんは、カッチリしたワインの最後の渋みがフォアグラとの相性をダイナミックなものにする。と言っていました。
真鯛のオーブン焼き フランス産キノコのフリカッセ マトロートソース
Ch. Reverdi 2012 (Listrac-Medoc) / Ch. Anthonic 2012 (Moulis)
魚に合わせたのは、海に近いアペラシオンのリストラックとムーリス。
左はキュッと引き締まって男性的、右は肉厚でまろやかで女性的。ソースに赤ワインが入り、こっくりしていたので、私は女性的なタイプがより合うと思いました。
オリヴィエさんに、魚料理と赤ワインを合わせる際のポイントを尋ねると、ソースに赤ワインが入っていると寄り添いやすい、と言います。また、キノコソースは赤ワインを引き立ててくれるとのこと。ワインの温度が上がり、開いてきたことも、相性をよくさせたようです。。
キノコの入ったこの赤ワインソースは本当によく合っていましたので、家庭でも参考になります。
牛フィレ肉のロースト マカロニグラタン 黒胡椒風味
Ch. Haut Breton Larigaudiere 2012 (Margaux) / Ch. Fonbadet 2012 (Pauillac)
まろやかでやさしいマルゴーとペッパリーなポイヤックのカベルネとのペアリングは、好みが分かれるかもしれません。
マルゴーは骨格がしっかりして気品があります。ポイヤックはなめし革の風味がモダンです。
どちらも料理に合いますが、私の好みはマルゴーかな。
フィーヌタルト ショコラオランジェ × Ch. Le Crock 2012 (Saint-Estephe)
オリヴィエさんのシャトーで、エチケットを見ての通り、レオヴィル=ポワフェレの系列。
粘土質土壌から生まれる力強いワインです。
「チョコの苦さがワインに合う。ワインの中にオレンジの香りがある」、とオリヴィエさん。
オレンジの酸とチョコとワインがよく合いました。
料理に合わせると、クリュ・ブルジョワは本当によく合い、ガストロノミーのワインだ再認識しました。
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックのワインといっても、アペラシオンによって、また生産者によっても味わいが多彩なので、こんなふうに色々な組み合わせを楽しんでみると面白いと思います。
日本人は格付けシャトーの上のクラスに目が行きがちですが、食と楽しむなら、クリュ・ブルジョワを選ばない手はありません。
なんたって、プライスがお手頃でコスパがいいですからね。
クリュ・ブルジョワの認定は毎年行われています。
昨年認定されたからといって、今年も認定されるわけではありません。
この認定作業が手間と時間がかかることから、複数年のセレクションにしてはどうか?という意見も出ているそうです。
また、通常とワンランク上の二つのレベルを作るか?という声も出ています。
ワンランク上のスペリオールのレベルは、実はかつて存在していました。
メドック・クリュ・ブルジョワ連盟では、2020年実施(2017年ヴィンテージ)をめざし、消費者にとっても安心感を与えるやり方にして行こう、という方向で調整を行なっていくようです。
今後の行方を見守りましょう。
料理 『Benois』
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階
http://www.benoit-tokyo.com/
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クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは、仏ボルドーのメドック地区の赤ワインの公式セレクション認定制度です。
現在の公式セレクション認定制度は2009年から公式に承認されています。
ボルドーのメドック地区には第1級から5級まで61の格付けシャトーがあることで知られていますが、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは、それとはまた別のセレクションになります。
2012年ヴィンテージは267シャトーがクリュ・ブルジョワ・デュ・メドック公式セレクションで認定されています。
最新のヴィンテージは2013年ですが、今年はパリでの発表が遅かったために海外へのお披露目が間に合わず、今回は昨年9月に発表された2012年ヴィンテージが日本での最新ヴィンテージということで紹介されました。
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックの公式セレクションは、2012年ヴィンテージで5回めになります。
2012年ヴィンテージは、267シャトーの2900万本がクリュブルジョワに認定されました。
2900万本は、メドック総生産量の30%になります。
対象のアペラシオンと267シャトー数の内訳は以下の通り。
ACメドック 111、ACオー・メドック 92、ACリストラック・メドック 14
ACムーリス 15、ACマルゴー 9、ACポイヤック 5、ACサンテステフ 21
※シャトーリストは公式HPで見ることができます
http://www.crus-bourgeois.com/
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックは赤のみのセレクションです。
というのも、この地域の白ワインは、ACボルドーになってしまうからです。
例えば、あの有名なシャトー・マルゴーの白ワイン“パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー”もACボルドーですからね。
認定ワインにはロゴマーク入りの公式ステッカーが貼られます。
このステッカーが付いているワインは、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック品質、真正性、産地保証がされているワインということです。
ステッカーはボトルネックやバックラベルなどに付いています
ステッカーはビジュアル認証データ管理システムが採用されていますので、スマホなどのスキャン機能でQRコードを読み取り、公式サイトにアクセスしてワインやシャトーの詳細情報を得ることができます。
これは便利!
セレクションの歴史、選考基準などは、昨年詳しく書きましたので、こちら を参考にしてください。
今回は、2012年ヴィンテージ情報、食とのマリアージュ、最新の動きを取り上げます。
オリヴィエ副会長
「2012年のメドック地区は難しい年だった」、とオリヴィエさんは言います。
春が寒く、なかなか暖かくならなかったので、ブドウが実りにくかったのです。しかし、秋が近くなってから気温が上がり、インディアンサマーの様相となり、10月は暑くなりました。
いつもと違う特殊な年で、オリヴィエさんのシャトーは例年より二週間遅い10月11~15日に収穫したそうです。また、メルロはよく育った年だそうです。
さて、いよいよ試飲です。
いつもはワイン単体を試飲するだけにとどまりますが、今回は食と合わせました。
フォアグラのポワレ ポルト酒のソース
Ch. Rollan de By 2012 (Medoc) / Ch. Charmail 2012 (Haut-Medoc)
メルロ主体の丸みあるタイプ(左)も、強くてしっかりしたタイプ(右)もフォアグラに合います。ポイントはポルト酒のソースですね。
オリヴィエさんは、カッチリしたワインの最後の渋みがフォアグラとの相性をダイナミックなものにする。と言っていました。
真鯛のオーブン焼き フランス産キノコのフリカッセ マトロートソース
Ch. Reverdi 2012 (Listrac-Medoc) / Ch. Anthonic 2012 (Moulis)
魚に合わせたのは、海に近いアペラシオンのリストラックとムーリス。
左はキュッと引き締まって男性的、右は肉厚でまろやかで女性的。ソースに赤ワインが入り、こっくりしていたので、私は女性的なタイプがより合うと思いました。
オリヴィエさんに、魚料理と赤ワインを合わせる際のポイントを尋ねると、ソースに赤ワインが入っていると寄り添いやすい、と言います。また、キノコソースは赤ワインを引き立ててくれるとのこと。ワインの温度が上がり、開いてきたことも、相性をよくさせたようです。。
キノコの入ったこの赤ワインソースは本当によく合っていましたので、家庭でも参考になります。
牛フィレ肉のロースト マカロニグラタン 黒胡椒風味
Ch. Haut Breton Larigaudiere 2012 (Margaux) / Ch. Fonbadet 2012 (Pauillac)
まろやかでやさしいマルゴーとペッパリーなポイヤックのカベルネとのペアリングは、好みが分かれるかもしれません。
マルゴーは骨格がしっかりして気品があります。ポイヤックはなめし革の風味がモダンです。
どちらも料理に合いますが、私の好みはマルゴーかな。
フィーヌタルト ショコラオランジェ × Ch. Le Crock 2012 (Saint-Estephe)
オリヴィエさんのシャトーで、エチケットを見ての通り、レオヴィル=ポワフェレの系列。
粘土質土壌から生まれる力強いワインです。
「チョコの苦さがワインに合う。ワインの中にオレンジの香りがある」、とオリヴィエさん。
オレンジの酸とチョコとワインがよく合いました。
料理に合わせると、クリュ・ブルジョワは本当によく合い、ガストロノミーのワインだ再認識しました。
クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックのワインといっても、アペラシオンによって、また生産者によっても味わいが多彩なので、こんなふうに色々な組み合わせを楽しんでみると面白いと思います。
日本人は格付けシャトーの上のクラスに目が行きがちですが、食と楽しむなら、クリュ・ブルジョワを選ばない手はありません。
なんたって、プライスがお手頃でコスパがいいですからね。
クリュ・ブルジョワの認定は毎年行われています。
昨年認定されたからといって、今年も認定されるわけではありません。
この認定作業が手間と時間がかかることから、複数年のセレクションにしてはどうか?という意見も出ているそうです。
また、通常とワンランク上の二つのレベルを作るか?という声も出ています。
ワンランク上のスペリオールのレベルは、実はかつて存在していました。
メドック・クリュ・ブルジョワ連盟では、2020年実施(2017年ヴィンテージ)をめざし、消費者にとっても安心感を与えるやり方にして行こう、という方向で調整を行なっていくようです。
今後の行方を見守りましょう。
料理 『Benois』
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階
http://www.benoit-tokyo.com/
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