ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ボルドー・メドックのワイン選びの新指標「クリュ・ブルジョワ」

2014-09-11 12:58:45 | ワイン&酒
先週、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック2011年ヴィンテージ試飲会 が、都内にて開催され、足を運んできました。

ワインに詳しい人でも混乱するのが、この “クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック” というカテゴリではないでしょうか?



ボルドーのメドック地区 には格付けがあることは、よく知られていると思いますが、
ラフィット、ラトゥール、マルゴー、ムートン、オー=ブリオン(このシャトーのみ例外でグラーヴ地区)といった1級シャトーを頂点に、第5級までの61シャトーがずらりと並んでいます。

しかしながら、メドック地区には、61に入らないシャトーの方が多いんです。
第1級から5級の格付けは、たしかにワイン選びの目安にはなりますが、これしか見ないのは、非常にもったいこと。

そこで、ワイン選びのもうひとつの指標にしたいのが “クリュ・ブルジョワ” です。

メドックの第1級~5級の格付けは、1855年のパリ万博を機に制定されたのもですが、クリュ・ブルジョワの歴史は中世まで遡ります。

1152年にフランスのアキテーヌ地方(ボルドーを含む地方)の領主の娘エレオノールが、アンジュ伯アンリ・プランタジネットと結婚し、その2年後の1154年、アンリはイングランド王に即位します(ヘンリー2世)。
その際、エレオノールの持参金であったアキテーヌ領がイングランド領となり、1453年にフランスに返還されるまで、英国の支配が続きます。
ボルドーワインはイングランドへの重要な輸出品になりますが、当然、素性のいい上質なワインが求められますから、富を持つ者は優良な土地を手に入れるようになり、クリュ・ブルジョワの概念が形成されるようになりました。

クリュ・ブルジョワがボルドー仲買人組合に正式に認められたのは1932年のことで、当時のシャトー数は400~500。

その後、2000年11月にフランス農水省の省令で正式に認められ、2003年に新たな格付けが発表されました(247生産者)。
ところが、この選定の審査団の中に、格付けに入ったシャトーの関係者が含まれていたことから公正性が問題視され、2007年にこの格付けが無効であると、ボルドー行政控訴院の判断が下されたのです。

そのため、しばしの期間が空くことになりましたが、2009年、現在のクリュ・ブルジョワ・デュ・メドックの公式セレクション認定制度が、ようやくフランス政府公的機関により承認されました。



公式試飲審査は関係者が入らない第三者検査機関により行われ、エキスパート審査委員(プロのテイスター)が協議なしで個人採点を行い、その平均点によって認定が決定されます。

この審査は毎年行われるようになりました、
最新は、今回の2011年ヴィンテージ(第4回公式セレクション)になります。


クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックの認定取得条件

ワイン生産シャトーでつくられた赤ワインであること

メドック地区の全アペラシオン(8つ:メドック、オー=メドック、リストラック・メドック、ムーリス、マルゴー、サン=ジュリアン、ポイヤック、サン=テステフ)であること

以下のブドウ品種のブレンドであること(カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、一部プティ・ヴェルドとマルベック)

作付面積5~180ヘクタールのワイナリー


申請のあった数量のみが認証され、認証されたワインにはシールが付けられます。



認証シールの QRコード でそのワインの詳細情報が獲得できます

申請された本数以上のワインが出回ることは認められませんから、認証シールの有無で、そのワインの正統性が一目でわかりますね。



“クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック 2011年ヴィンテージ公式セレクション”は 256シャトー(メドック地区ブドウ作付面積の27%)、生産本数は2800万本(同生産量の38%)。

そのうち、日本に入っているのは約30%だそうです。
数が多いですから、まずは、お気に入りシャトーをひとつふたつ探し出すのがいいでしょう。
それを年々追っていきながら、新しいシャトーを開拓していくのがオススメです。

試飲会では約90アイテムが出展され、いまひとつと感じたものも中にはありました。
ワインは嗜好品ですし、コンディションの問題もあったかもしれません。
でも、認証シールは一定基準の品質をクリアしている目安 になります。

以下に、私がいいなと思ったいくつかを紹介しますので、よければ参考にしてください。
選んだポイントは、酸味とバランス、エレガントさです。


およそ2000円前後~6000円程度が主要価格帯になると思います

クリュブルジョワは61シャトーよりも買いやすい価格がつけられているのが大半ですが、中には、少々お高めなプライスのものもありました。素性を知ると、なるほどと思うのですが、私たちがクリュ・ブルジョワに求める要素のひとつに、品質と価格のバランスがあると思いますので、コスパの良いものをぜひとも見つけたいものです。

メドックならではの品格を求めたい時、ありきたりでないワインを求めたい時に、クリュ・ブルジョワ・デュ・メドックの中から上手に選べたら嬉しいですね。




クリュ・ブルジョワ・デュ・メドック 公式サイト  www.crus-bourgeois.com

※各種タプレットで認証シールのQRコードを入力するほか、上記公式サイトでもボトルの個体識別番号の入力ができます


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« テタンジェ唯一のドメーヌ・... | トップ | 大満足のシュナン&リースリ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ワイン&酒」カテゴリの最新記事