ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

イタリアワインの心強いガイド「ガンベロロッソ」-1

2022-01-21 22:27:21 | ワイン&酒

ワインの超初心者も、ある程度飲んできた人も、ワイン選びは常に悩みの種。

悩みと言っても、嬉しい悩み、という方も多いかもしれませんが

 

何気なく飲んだ1杯のワインからハマっていく場合もあり(先月取材した方がそうでした)、ワインとの出合いが人生を変えることもあります。

現に、この私も以前は普通の会社員でしたが、縁あってこの仕事に携わるようになり、早20年が過ぎました

 

自分がこれまでに知らなかったワインに出合えるかも?というのが、達人たちがセレクトしたワインガイドブックで、イタリアワインの場合は、「ガンベロロッソ」誌が1988年版から出している「イタリアワインガイド」が有名です。

ワイングラスの数で品質を評価し、最高は3グラス(トレ・ビッキエーリ)。

イタリアワインファンの間では、3グラスを獲得したワイン、という表現が、会話のそこここに出てきます。

 

最高の3グラスでなくとも、2グラス、1グラスでも、ガンベロロッソのワインガイドで紹介されているなら、その品質が評価され信頼度が高いワイン、ということで、ワイン選びの指標のひとつになってくれます。

さらに近年では、オーガニックやビオディナミ栽培の認証を受けた3グラスワイン「トレ・ビッキエーリ・ヴェルディ」(ヴェルディはイタリア語で「緑」)もあり、ナチュラル系ワインを選びたい人の指標になりますね。

また、特にコストパフォーマンスにすぐれたワインには「*」(アスタリスク)が付けられていますので、コスパ重視の人には嬉しい目印です。

 

 

といったガンベロロッソのイタリアワインガイドですが、新しい年度のランク発表、ガイドブック発売後に、これまで日本でも大きな試飲会が行なわれてきました。

ただし、この2年は新型ウイルスの感染拡大で実施されませんでした。

が、2022年度版ガンベロロッソ受賞ワインセミナーが昨年12月に都内で開催されましたので、それを取材してきました。

受賞セミナーは、3つの内容で行なわれましたが、そのうちのひとつのセミナーを紹介します。

 

 

 

私が取材したセミナーでは、13の受賞ワインが取り上げられました。

セミナー会場とイタリアをオンラインでつなぎ、各ワイン生産者のプロモーションビデオや解説などを視聴しました。

 

 

まずは、スパークリングワインと白ワイン

ワインは左から順に解説していきます。

 

 

BiancaVigna Conegliano Valdobbiadene Rive di Collalto Extra Dry 2020

(VENETO)

2004年設立で、兄妹で運営しているプロセッコのワイナリーです。

実はここ、以前に訪問したことがありますが、とても新しい設備でした。

密閉タンク方式(シャルマ)で、シュルリーを数カ月と長く行なうため、細かい泡になります。

Rive(リーベ)は区画名を名乗れるもので、このCollaltoは2020年が初ヴィンテージ。

試飲すると、フルーツと泡、ミネラルの骨格、酸がしっかりあり、キレがあるけれど甘みが余韻に感じられ、キレイなスタイルでおいしい!

マッチョな兄を懐かしく思い出しながら飲みました。いつか再訪できるかしら。

 

Ferghettina Franciacorta Dosaggio Zero Riserva 33 2013

(LOMBARDY)

1991年に先代が設立し、現在は娘のラウラさんが引き継いでいます。

ベースワインが100以上もあり、それをブレンドして7種のフランチャコルタを生産。

ラウラさんの息子マテオがオーガニック栽培を実践し、2016年にはワイナリーを拡張し、テイスティングルームも備わったそうです。

このキュヴェはシャルドネ100%。ドサージュゼロなので辛口ですが、アタックはソフトで、スムーズに口の中に入りました。ほのかな塩味も感じ、香りがとても複雑。

瓶内二次発酵84カ月!ヴィンテージは2013年ですが、フレッシュ感がありました。

 

Panizzi Vernaccia di San Gimignano 2020

(TUSCANY)

40年前にロンバルディア出身者が創設したワイナリーで、サンジミニャーノのパイオニアのひとつ。長期熟成に力を入れているそうです。

トスカーナを代表する白ブドウ、ヴェルナッチャを使った白ワインで、品種の特徴であるフローラル感(エニシダ、リンドウなど)があり、ライムやグレープフルーツの皮のニュアンスを出し、ミネラル感があり、シャープで、少々スモーキーなトーンを出しているとのこと。

飲んでみると、香りが華やかで、豊かなフルーツと柑橘の皮のビターな余韻があり、シャキッとしておいしい白ワインでした。

トスカーナというと赤ワインのイメージが強いですが、こういう白ワインもあるんですね。

 

 

Francesco Tornatore Etna Bianco Pietrarizzo 2020

(SICILY)

エトナ北部のワイナリーで、1865年からブドウを栽培し、ブドウはずっと売っていたそうです。

が、ITで成功したオーナーが故郷のシチリアでワインをつくろう!と、近代的醸造を行なっているワイナリーです。

単一区画ピエトラリッツオのカリカンテを使い、木樽発酵、シュルリー5カ月。

テイスティングすると、香りはふわり。重心は上に感じました。少々苦みのある、柑橘、特に和の柑橘の皮のニュアンスが感じられ、酸がしっかりあってフレッシュでイキイキとしていながら、ふくよかさもあり、複雑味のあるワイン、という印象を受けました。

 

Cantina Terlano A. A. Terlano Nova Domus 2018

(ALTO ADIGE)

ハプスブルクの時代の19世紀末、ドイツ語圏のドロミテ渓谷に設立された協同組合ワイナリーです。

協同組合ってどうなの?と思うなかれ。

テルラーノはドイツらしい几帳面さで、上品なミネラル感があり、30年くらいは長期熟成する可能性を持つテロワールでワインづくりをしています。

広い産地なので、色々なテロワールがあり、色々なブドウを栽培しています。

このNova Domusは、ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランをブドウごとに醸造し、12カ月後にブレンド、ボトル熟成を3カ月してから出荷。

試飲あする前からアロマが華やかに香ります。パイナップル、トロピカルフルーツ、レモンピール、アニス、ハーブ、などなど。

アタックがとてもなめらかで、桃を思わせる甘美な風味があり、とてもエレガント。ボディはふっくら、かつ、しっかり。複雑味があり、余韻が長く、うっとり~の1本でした。

 

 

この後、まだ9アイテムあり、長くなるので、本日はここまで。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Proweinは5月に延期になりました | トップ | スイーツ対決!紅葉まんじゅ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ワイン&酒」カテゴリの最新記事