ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「缶ワイン Wine in cans」をもう少し考える

2019-03-29 22:05:34 | ワイン&酒
先日、ProWein リポート第二弾としてアップした「缶ワイン」への反響がけっこうありましたので、もう少し補足したいと思います。


ワイン生産者が缶ワインを造るキッカケはいくつかあるようで、ワインを清涼飲料水のようにジャカジャカ売りたいメーカーもあれば、ワインはスノッブたちだけが楽しむものではなく、若者でも気軽にアクセスできるものであると提案したいメーカー、チープワインではなくボトルワインと同じ高品質ワインを提供してることを強調しているメーカー等など、それぞれさまざまなコンセプトがあるわけです。

普段からそこそこの品質を持つワインを楽しんでいる消費者にとっては、ジュースの延長のような清涼飲料水的缶ワインは、遠慮願いたいところです。

缶ワインは、ヨーロッパではすでに数十年の歴史があるようですが、アメリカ初の缶ワインは、カリフォルニア州のコッポラが2003年に発売した「Sofia Mini」(187ml)でした。



それには高品質なBlanc de BlancsのSparkling Wineが詰められ、さらにはストローで飲むスタイルでした。これには、消費者は大変驚かされました。



コッポラの日本の輸入元は“ワイン イン スタイル”。
この2枚の写真は、同社が都内で2007年に開催した試飲会の時に撮影したものなので、日本市場には、この前くらいに入ってきていると思います。

ちなみに、コッポラとは、あの映画監督のコッポラで、ソフィアというのは彼の愛娘で、現在は映画監督として活躍しているソフィアさんということは、ワイン好きならよく知っていますよね。

ミニサイズのスパークリングワインをストローで飲むスタイルは、たしかこの少し前くらいだと思うのですが、シャンパーニュのベビーボトル(187ml)で流行しました。
ベビーボトルはあくまで瓶ワインで、缶ワインではありませんでした。
キュートなミニサイズの瓶ボトルだから、カワイイもの、新しいもの好きの消費者が飛びついたと思いますが、このシャンパーニュが缶に入っていたとしたら、見向きもされなかったかもしれません。いえ、その逆で、もしかしたら、歴史が変わっていたかも?


缶のワインは、瓶のワインと違い、法律的な消費期限があります。
缶容器の経年劣化問題は、避けて通れません。

ですから、缶ワインは、瓶ワインのように熟成させて飲むものではありません。

缶ワインは、今すぐ、その場で飲むことを目的に造られています。

缶ワインのメリットとしては、
軽くてコンパクトで、持ち運びしやすく、瓶よりもカーボンフットプリント(温室効果ガスを二酸化炭素排出量に換算したもの)の削減効果があります。
いつでも、どこでも開けられ、開けた缶は自分ひとりで飲んでOKだし、煩わしいスノッブな会話も不要です。
あと、瓶のゴミ出しも楽ですね(笑)

こうした「個」のニーズや、シンプルなライフライフを求める人には、自分の好きなときに個々に自由に飲める缶ワインは、心地よく感じることでしょう。



もちろん、ひとりで飲まずとも、缶ワインをシェアして飲めば、缶ワインの話題で会話が弾むでしょうし、前回紹介した、Union Wine Company の「UNDER WOOD」(米オレゴン)なら、品質にうるさい人の舌も満足させることができるでしょう。

日本人のライフスタイルは多様化していますし、ニーズやシチュエーションに応じて缶ワインを選んでいく、というのも、今後は普通にアリですね。

すでに日本市場には缶ワインはいくつか上陸していますが、この先、増えていくのか?
個人的には、高品質で手頃な価格の缶ワインなら、帰宅途中にサッと買い、その日の晩酌ワインとして飲みたいなぁ、って思いますけれど。

今の季節は、花見、ピクニックには確実に便利ですから、うまく活用したいものです。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 旧修道院ビール「AVERBODE」... | トップ | 缶入りの日本酒は色々と出て... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ワイン&酒」カテゴリの最新記事