ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

日本のワインぶどうの父が設立した「岩の原葡萄園」@新潟

2022-09-07 23:31:28 | ワイン&酒

先日、大学のOBで飲み仲間でもある先輩の主催で

新潟県上越市「岩の原葡萄園」のワインを飲む会が都内で開催され、参加してきました。

 

 

岩の原葡萄園は、日本の固有ブドウ品種「マスカット・ベーリーA」の生みの親、川上善兵衛さんが1890年に開いたブドウ園です。

川上善兵衛さんは1868年(明治元年)に生まれ、28歳で早世した父を継ぎ、わずか7歳で6代目善兵衛となります。

その後、勝海舟との交流で海外から輸入された葡萄酒と出合ったことで、後に、「日本のワインぶどうの父」と呼ばれ、22ものブドウ品種を世に送り出す人物となりました。

 

善兵衛さんが生み出した22品種の中で、最も有名なのが

「マスカット・ベーリーA」(MBA)(1927年、昭和2年誕生)です。

現在の岩の原葡萄園の生産ワインのラインナップを見ても、さすがMBAが充実しています。

「ブラック・クイーン」、「ローズ・シオター」、「レッド・ミルレンニューム」、「ベーリー・アリカントA」なども善兵衛さんが生み出したブドウです。

 

岩の原葡萄園 善 スパークリング ロゼ NV

 

この美しい色のロゼスパークリングも、マスカット・ベーリーAからつくられています。

アロマがとても華やかで、味わいはやや辛口、といったところでしょうか。

フレッシュ&フルーティーで、ジューシーな味わいで、心地よく飲めます。アルコール度数12%。

休日のランチ、アフタヌーンティー、まだ少し明るい夕方からのアペリティフなどにオススメ。

 

この「岩の原葡萄園 善 スパークリング ロゼ NV」は、先日の記事で紹介した 第18回「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2022」のスパークリング部門で「銅賞」を受賞しています。

ちなみに、この日に飲んだワインは、すべて同コンクールの受賞ワインでした。

 

 

岩の原葡萄園 ローズ・シオター 2021

 

Rose Ciotat は、「ベーリー」×「シャスラー・シオター」の交配白品種(1927年)。

こちらも善兵衛さんが手掛けたブドウです。

実は、こちらを飲むのは初めてですが、ひとくち飲んですぐに気に入りました。

口当たりがやさしく、ほわりとした癒し系。白ワインらしい果実味とジューシーな酸味はちゃんとあります。香りが少々トロピカルかもしれません。

これはスイスイ飲めます。アルコール度数11%とライトなのもマル。

 

「岩の原葡萄園 ローズ・シオター 2021」は、上述したJapan Wine Competition 2022で「国内改良等品種 白 奨励賞」を受賞しています。

 

 

MBAのスパークリングロゼやローズ・シオターは、食事の最初の前菜、野菜料理などにオススメ。

今回は、生ハムやバーニャカウダに合わせました。

 

 

岩の原葡萄園 深雪花 赤 NV

 

岩の原葡萄園といえば「深雪花」(みゆきばな)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

岩の原の定番中の定番で、これもMBAです。

 

ふっくらとした果実味のアタックがやさしく、タンニンがなめらかに溶け込んだ赤ワインで、やわらかなフルーツ感とスムースな飲み心地は、赤ワインが苦手という人にもオススメ。

幅広い料理に合わせられるので、さまざまな人と料理が集まるホームパーティにもいいですね。

 

日本で生まれたMBAは日本の料理との相性もよく、この深雪花は、アジフライ、筑前煮、肉じゃが、鶏唐揚げ、メンチカツ、カレーコロッケなどにも合わてみたくなります。

 

この深雪花は、「国内改良等品種 赤」部門で銅賞を受賞しています。

 

 

マスカット・ベーリーA(Muscat BaileyA)は、2013年に国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に日本のブドウ品種として、甲州種(2010年登録)に次いで登録されています。

これにより、EU域内で販売するワインのラベルにブドウ品種名を表示することができます。

まさに、日本を代表する赤のブドウ品種ですね。

 

岩の原葡萄園 マスカット・ベーリーA 2020

 

こちらもMBAですが、深雪花より果実の凝縮感が強く、タンニン量も多くなり、赤ワイン好きも納得の上級MBA。

深雪花より骨格のしっかりした赤ワインで、料理もしっかりした肉料理がオススメ。

 

日本ワインコンクール2022の国内改良等品種・赤部門で「銀賞」を受賞しています。

 

 

岩の原葡萄園 HERITAGE 2019 (右)

 

ヘリテージは、岩野原葡萄園の最上級MBAになります。

日本ワインコンクール2022 国内改良等品種・赤カテゴリで「金賞」でした

 

ヘリテージは、8月の日本ワインのイベントを取材した時にも少し口にできたのですが、やっつけで飲むには良さが表現できないワインだと感じました。

ワインの構成要素は最高レベルに充実し、凝縮感もしっかりあります。

MBAでここまで行く?

この内容で5,500円は素晴らしいと思いました。

最初は閉じていました。可能であれば、大きめのグラスを用意し、抜栓も早めに行ない、よく開かせてから飲むといいでしょう。

できれば、あともう少し寝かせてから飲んでみたいですね。

 

深雪花からヘリテイジまで、岩野原葡萄園のMBAワイン3種の贅沢な飲み比べ、いい体験でした。

 

 

岩の原葡萄園 ブラック・クイーン 2020

 

ブラッククイーンも善兵衛さんが生み出したブドウで、「ベーリー」×「ゴールデンクイーン」の交配品種(1927年)。

日本語にすると「黒の女王」!

色濃く、少々野生的なニュアンスが感じられ、酸味も豊かで、私は好きな品種です。

熟成が進むと、いい感じにこなれ、官能的なタッチが出てきます。

このブラッククイーン2020は、日本コンクール2022の国内改良等品種・赤部門「銅賞」。

 

 

岩の原葡萄園 レッド・ミルレンニューム 甘口 2021 

 

ラストは甘口の白、ぶどう品種は、善兵衛さんが生み出した「レッド・ミルレンニューム」で、「未詳1号」×「ミルレンニューム」の交配品種です(1929年)。

名前が覚えにくいし、発音しにくい~(笑)

こちらは甘口ですが、辛口タイプもあります。

 

甘口は、ナチュラルでやさしい甘さで、ライチやマスカットのフレーバーがあります。

もっと甘みの強い甘口もあると思いますが、いい感じのピュアで自然な甘口でした。

これも日本ワインコンクール2022で、国内改良等品種・白部門「奨励賞」を受賞しています。

 

 

岩の原葡萄園のワインは、コンクールで受賞するレベルの高いものばかり。

近年、日本のワイナリーは新しいところがどんどん増えてきましたが、日本のワインブドウの父、川上善兵衛さんが解説した岩の原葡萄園のワインは、当時から現代まで、高い品質を保ったワインを造り続けている、ということを改めて実感しました。

 

岩の原葡萄園 神田 和明社長、お世話になりました

 

 

岩の原葡萄園について興味がある方、ワインが買いたい方は、下記公式HPをご覧ください

 

岩の原葡萄園 HP

https://www.iwanohara.sgn.ne.jp/

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする