ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

伊シチリアの地場品種を楽しむワイン「Maggiovini」

2016-08-18 18:32:49 | ワイン&酒
6月末、イタリアはシチリア州の MAGGIONINI(マッジョヴィーニ)から、オーナーのマッシモ氏と、輸出部長が来日し、イタリア大使館貿易促進部(東京都港区)にてプレゼンテーションを行ないました。


MAGGIONINI (Italy, Sicily)

MAGGIONINIの本拠地は、シチリア南部のラグーザ県Vittoria(ヴィットリア)
曾祖父の時代からの家族経営ワイナリーで、マッシモ氏の父の時代はバルクワイン用にも販売していましたが、現在はマッシモさんと姉が引き継ぎ、クオリティワインの生産に力を入れています。

また、ビオワインにも取り組み、2015年にEUのBio認証を取得しています。
ケミカルなものを使わず、自分の土地に一番合う方法を探しながら、さらに自然な方法でブドウを作る方向に進んでいるそうで、畑でのさまざまな取り組みを紹介してくれました。


Massimo Maggio Maggiovini

マッシモ氏は、シチリアで唯一のDOCGワイン“Cerasuolo di Vittoria”協会の会長を務めており、シチリアワインエノロジスト協会の役員も歴任しています。

「新しい技術を加えながら、古くからの土地の歴史を伝え、土地独自のワインをつくりたい」とマッシモ氏。

ラグーザ県のヴィットリア周辺は、500万年前に大きく上下に隆起した土地で、400mの山から吹き下ろす涼しい風が谷間に吹き、また、海から南西の強い風が吹くため、モダンでエレガントなワインができるといいます。

Maggioviniでは100haの畑を所有し、土地のブドウを中心に栽培しています。

赤:ネロ・ダヴォラ、フラッパート
白:インツォリア、カタラット、グリッロ

ネロ・ダヴォラはシチリア各地で栽培されていますが、土地によって個性の違うワインになると言います。

アグリジェント周辺(シチリア南西部)は、色濃く、タンニンが強いブドウになるため、樽を使って飲みやすくするものが多い。

トラパニ周辺(シチリア北西部)は、密植され、酸が強くなるので、他のブドウとのブレンドが多い。

ヴィットリア周辺(シチリア南部)は、香りが強く(桑の実、イチゴなど)、味は濃いが、タンニンはそれほど強くない。フラッパートを加えると、やわらかなワインになる。



軽やかだけでど、しっかりした香りがあるのが本物のネロ・ダヴォラ。
桑の実、プラム、森の木の実、サルビアの香りが特徴。 Rasulaのネロ・ダヴォラには、豊かで複雑な香りがある」とマッシモ氏。




“Rasula”(ラスーラ)はBioワインシリーズで、原産地呼称はIGT Sicily。
ネロ・ダヴォラ以外に、カタラット(白)、カベルネ・ソーヴィニヨン(赤)があり、参考上代はカベルネが3,100円、他2つが2,900円。

Rasula Nero d'Avola 2014 は、樽を使っていません。
アタックはまろみがあり、酸もまろみがあり、キメ細かなタンニンがしなやか。
バランスよく、幅広いフードに合わせられるワインだと思います。



ラスーラよりカジュアルに飲めるレンジが“Pithoi”(ピトーイ)で、インツォリア(白)、ロザート(ネロ・ダヴィラのロゼ)、ネロ・ダヴォラ(赤)があり、各1,900円。



“Pithoi”は、ギリシャ時代に使用されていたワイン貯蔵用の甕のことで、エチケットにも描かれています。



ロザート(ロゼ)は美しい色合いです



忘れてはいけないのが、シチリア唯一のDOCG Cerasuolo di Vittoria(チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア)です。

テイスティングしたのは、Maggiovini DOCG Cerasuolo di Vittoria Classico 2013(右から2本目)で、ネロ・ダヴォラ50%、フラッパート50%のブレンド。

ネロ・ダヴォラは25℃で、フラッパートはアロマをキープするために20℃で発酵させ、いずれもMLF、バトナージュを行ない、まろやかになるように仕込みます。
「まさにヴィットリアらしいワインで、フラッパートのエレガントなイチゴの香りと、ネロ・ダヴォラのプラムの香りが合わさって出ている」とマッシモ氏。

飲んでみると、香りは少し熟成が入り、複雑で魅惑的。心地よいチャーミングな果実味と酸味が心地いいですが、酸はしっかりしています。味わいにも複雑味、うまみがあり、余韻も長く、これは素晴らしいワインです。少し熟成したチーズに合わせたくなりました。

マッシモ氏のオススメは、肉、チーズ。マグロを鉄板で、しっかり焼き目をつけたものと。
こちらは参考商品だそうで、参考上代は2,900円。




チーズ、生ハム、オリーブの盛り合わせも鉄板!


上の画像の右端は、ネロ・ダヴォラ60%に、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、メルロ15%をブレンドした“Amongae 2012”(アモンガエ)2012
スーパーシチリアンワインを造りたい!と思ったマッシモ氏の個人的な考えから、ボルドー品種をブレンドしたそうです。

ヴィットリアは元々はギリシャの植民地。2000年前、オリンピックの競技に出した馬(名前がアモンガエ)が偶々優勝してしまい、その名誉を讃え、銀器でワインを飲ませたという逸話があります。以来、領主は客人に銀器でワインを飲ませ、真実を語らせるのに使ったとか。

アモンガエを飲んでみると、うま味の乗った、素晴らしく濃いワインです。しなやかに凝縮し、酸もしっかりあり、ビターチョコのなめらかさを感じます。余韻も長く、大変よくできています。アルコール度数14.5%と、やや高め。参考上代 4,300円。

(輸入元:大倉フーズ株式会社)



近年、ワインはローカル品種が人気です。
カベルネやシャルドネなど、各地で広く造られている品種よりも、そこにしかない地場品種は貴重なものだと思います。

グローバル化が進みすぎ、どこも同じようなワインばかりになってくると、その土地らしいワインの個性が、より輝いてくるように思いませんか?

国際品種を否定する気はまったくありませんが、その土地らしいワインが、私はやっぱり好きです。




ネロ・ダヴォラとピッツァも大好きな組み合わせ

コメント
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