ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

第43回 Weingut Zimmerling<2>@「キャッチ The 生産者」

2009-05-21 09:37:45 | キャッチ The 生産者
 

第43回  Klaus Zimmerling  <Weingut Zimmerling> <2>
 
ドイツ、ザクセン地方のワイン生産者「ツィマーリング」の訪問記<2>です

 *<1> から読みたい方は コチラ へどうぞ
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<テイスティングしたワイン>

ザクセンでは「品種名」がワインの名前となっています。

モーゼルやラインガウなど、他の産地では「畑名」が付いているのでわかりにくいですが、ザクセンのラベルは非常にシンプルで明確です。

(クラウスさんのラベルは写真が表で、ワイン名はバックラベルにあります)

また、味わいも基本は「辛口」です。

ラベル表示といい、味わいの点といい、やはり場所柄のせいか、オーストリアワインに近いスタイルのようです。



1) Weissburgunder -R- 2006 
2) Weissburgunder -A- 2006


この 「R」や「A」は、クラウスさんが勝手に付けたもので、ドイツのワイン法とは全く関係ない とのこと。

「R」は「リザーヴに近い」クラスのワインという意味とのことで、家の下の畑のブドウからつくったものは「R」が付いています。

「A」は「アウスレーゼに近い」クラスのワインという意味で、丘の上の畑のブドウからつくったものは基本的に「A」になるといいます。

丘の上の畑は下の畑より収穫が約10日間遅くなるため、その差が2つのワインに若干出ているように思います。



3) Grauer Burgunder 2006
4) Grauer Burgunder -A- 2004


グラウブルグンダーは暑い西の生産地ではうまくつくれず、冷涼な東の産地の方がよくできます。

2004年は夏が暑くなくて、ファンタスティックな10月を過ごしたので、酸がまだしっかり残り、糖のレベルも高く、いいワインができました」とクラウスさん。

いずれも爽やかで好ましいワインに感じました。



5) Riesling 2006
6) Riesling -R- 2006
7) Riesling -A- 2006


2006年は非常にリースリングが熟した年で、通常の年ならエクスレ度が90~100程度なのに、120まで上がりました」とクラウスさん。

5)はリースリングの香りというよりも花の香りが感じられ、非常にフローラルでやさしい感じのワインです。

6)はリースリングらしいワインですが、石油香的なものはなく、繊細な味わいです。

7)は骨格がくっきりしています。



8) Gewurztraminer 2006
9) Traminer 2006


8)のゲヴュルツトラミネールは、小さい粒のブドウが少量しかとれないとのこと 。
これは非常にソフトな口当たりのワインでした。

9)トラミナーはこのあたりではよくつくられている品種だそうで、熟れた白桃のようなアロマがあり、口当たりはなめらかで甘く、酸がマイルドに感じました。



10) Gewurztraminer -BA-2006
11) Riesling -BA- 2006
12) Eiswein vom Traminer 2003


この3つは甘口タイプになります。

10)は桃の感じがあり、やさしくよく熟した甘さのワインで、クラウスさんによると、レバー料理との相性が良いとのこと。

11)はリースリングのキャラクターがよく出ているワインで、ケーキやアプリコットを思わせる甘い風味を感じました。

12)はアイスワインです。このところ、ドイツでも温暖化の問題があり、この2003年を最後にアイスワインの収穫ができていないとのこと。

「2003年はボトリティス菌が付かずに健康なブドウが収穫できました。私がアイスワインをつくるときはボトリティスは付けません」とクラウスさん。

このアイスワインは長い余韻が素晴らしく、さすがの品格があります。




「アイスワインは シュトレン に合わせると最高だよ」と、クラウスさんがクリスマス菓子のシュトレン(村の近くのお菓子屋さんのもの。毎年そこのシュトレンを買うそうです)を切って出してくれました。

確かに見事なマリアージュで、さすがにこれはしっかり飲み干しました。
(もちろん、シュトレンも完食しました!)







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インタビューを終えて

ザクセン訪問の1軒目ということで、かなり緊張してお邪魔しましたが、クラウスさんは非常に真面目で穏やかな人柄の人物で、とてもていねいに説明してくださいました。

後日訪問したワイナリーの人たちからも、「彼はとてもいい人間だ」という話口々に聞き、私がクラウスさんに感じた印象は間違っていなかったんだ、と嬉しくなりました。

実にマイペースで、コツコツと1人でやっているクラウスさんですが、その努力の積み重ねがザクセンワインを代表する生産者としての高い評価につながっています。


奥様のマルゴルツァタさんと

今後、家の敷地内にセラーが完成し、自分のすぐ目の届くところでワインづくりができるようになったら、さらに素晴らしい品質のものができるようになるに違いありません。

これからの動きが気になるワイナリーです。



アトリエでの作業風景

奥様は1992年に東京を訪問したことがあり(彫刻のコンクール)、
「その時に京都に行けなかったことが心残りだったのよ」と言っていました。
とても明るい方で、真面目なクラウスさんとは素晴らしくナイスなカップルに思いました。



2006年のラベルになった木像


ワインは彼ら夫婦の合作といえます




この後も、ザクセンのワイナリー訪問記は続きます。
今回紹介できなかったことは、次回以降に追々触れていきますので、どうぞお楽しみに。



* 取材協力: ドイツワイン基金

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ぜひコチラもご覧下さい               → 「ザクセン取材秘話1」

マルゴルツァタさんの作品をもっと見たい方は  → 「ザクセン取材秘話2」

ピルニッツについてもっと知りたい方は      → 「ザクセン取材秘話3」


コメント
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