ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

プロヴィナージュ

2006-07-30 18:05:05 | ワイン&酒
昨日紹介したワインとフレンチのお店の名前にもなっている
プロヴィナージュ(provignage)とは、ブドウの樹の繁殖方法のひとつです。
(注)お店の名前は「provinage」ですが、本来のつづりは「provignage」です。


ブドウはツル性植物ですので、どんどんツルが伸びていきます。
そのツルが地面に到達し、土がかかったりすると、
そこから根が出てきます。

ということがわかった昔の人たちは、この方法でブドウの樹を増やしてきました。

でも、この方法だと、根は地表近くに広がることになるし、
(ブドウの根はより深く伸びた方がいいので)
ブドウの意思のままに株を増やしていくと、雑然としたブドウ畑になってしまいます。

だけど、この方法は今はほとんど見られません。

というのも、ワインのことを勉強した人ならよくご存知の
「フィロキセラ」という病虫害が19世紀後半に発生したからです。

フィロキセラ(=ブドウ根アブラ虫)はブドウの根をかじり、
ヨーロッパ中のブドウの樹を枯らしてしまいました。

そこで取られた方法が、
アメリカ種のブドウの台木にヨーロッパ種のブドウを接木する方法です。
アメリカ種はなぜかフィロキセラに耐性があったのです。


ということで、現在のヨーロッパには自根のブドウ樹はほとんどなく、
プロヴィナージュという方法も廃れてしまったわけです。

が、実は探せばあるもので、
シャンパーニュのボランジェがわずかに所有するピノ・ノワールの畑と、
ロワールのアンリ・マリオネのロモランタンが、フィロキセラに冒される前の自根ブドウと言われています。

ボランジェでつくられているのは 「ヴィエーユ・ヴィーニュ・フランセーズ」
アンリ・マリオネのつくるワインは、その名も「プロヴィナージュ」

どちらも樹齢は100年を軽く超えているわけで(マリオネのは150年とか?)、
どちらも生産本数はごくわずかな稀少品。

一度は味わってみたいものですね~

コメント
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