拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

「こころ」は物質名詞?(シュッツのIch danke)

2017-05-19 12:10:19 | 音楽
某会でシュッツの「Ich danke dem Herrn von ganzem Herzen」(主に心から感謝します)を歌っているのだが、この「von ganzem Herzen」(心から)を以前「vom ganzen Herzen」と言ってドイツ人に直されたことがある。「vom(von+dem)」なら「ganzen」で合ってるのだが、ここでは定冠詞(dem)は不要。だから「von」。だったら「ganzem」になる、というわけだ。さすがネイティヴ。一瞬の「n」と「m」の違いを聴き取る(こっちは結構早口でしゃべっているのだが)。いや、しかし、そもそもの疑問は、なぜ「dem」を付けちゃいけないかだ。物質名詞には冠詞を付けないという。すると「こころ」は物質名詞か?あらためて辞書を見る。まず、臓器の心臓は、これは数えられるから冠詞(ein,das)が付く。問題は「心」の意味で使う場合。ほら、やっぱり冠詞が付いてるぞ。「ein goldenes Herz」「Mir tut das Herz schwer」等々。でも「心から」は「von ganzem Herzen」なんだよな(ぶちぶち)。因んだ話その1。「Herz」と「schwer」といえば、シューベルトの「糸を紡ぐグレートヘェン」の歌詞に「Mein Herz ist schwer」(心はずたずた)というくだりがある。この歌、フィッシャー・ディースカウはアメリングの歌がお奨めだそうだが、私はルチア・ポップの歌が好きだ。その2。「こころ」と言えば、再放送の朝ドラ。こちらは視聴を断念して久しい。で、こないだひょいと見たら、え?ユウサクさん(ヒロインの夫)は死んじゃったの?