もう一つ、飲んでそのまま寝ちまうオペラで思いつくもの=リゴレット。殺し屋スパラフチレの家は一階がレストランで、マッダレーナをくどいたマントヴァ公爵は二階に上がって「stanco son io」(疲れた、寝る)と言って寝ちまう。寝室付きの料理店、うん、これも「宿屋」っぽい。で、歌詞チェック。ん?「Osteria」だってよ。「オステリア」ってレストランのことだよな……と思いつつ辞書を引く。すると、古くは「宿屋」という意味があったそうだ。当時の「宿屋」がみんなそうかは知らないが(シュッツの実家の「宿屋」は取り壊されたのは20世紀になってからで、写真が残ってて、なかなか立派)、少なくともスパラフチレの宿屋はごくシンプル。二階の「寝室」は「granaio」(屋根裏の納屋)にベッドをしつらえただけのもの。マントヴァ公爵は、「空の下で寝るのか、ベーネベーネ(よーかよーか)」と歌う。