拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

シュッツの二つの「種まく人」

2015-03-17 09:49:33 | 音楽
シュッツの宗教的合唱曲集(以下「宗教的」という)の中の「Die mit Traenen」(涙をもって種まく人は。詩篇126)の練習の合間に、シュッツのもう一つの「種まく人」(ダヴィデ詩篇曲集)を聴く。ダヴィデは1619年の作。「宗教的」は1648年。この間、約30年。30年戦争は1618年から1648年まで。つまり、30年戦争の始まりと終わりに作られたのがこの二つの曲集。ダヴィデの方は、イタリアから帰国してまもなくの頃で、先生のジョヴァンニ・ガブリエリを彷彿とさせる絢爛豪華なもの(ハデハデともいう。)。「種まく人」も5声+5声のダブルコーラスで、装飾音(ピララ~)もふんだん。それに対して「宗教的」はどうだ。余計なものを一切そぎ落としたエッセンスの塊。よーっぽど30年戦争が大変だったのだろう(金も名誉もいりませぬ。命あってのものだねよ)。シュッツ自身、「宗教的」は、イタリア的なものを排して古いドイツ様式に依った、と言ってる。それでも、「und kommen mit Freuden」の部分に付けた音型は30年の時を経て同じ。同じ人だもんね。