麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第182回)

2009-08-02 21:05:43 | Weblog
8月2日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

今週は、「これを読みきった」という報告がありません。
というのも、2週間くらい前から、フォークナーの「響きと怒り」を読んでいて、今週はそれを読み続けることだけに絞っていたからです。でもはかどりませんでした。

ご存知の方も多いと思いますが、この小説の第一部は、「白痴の主人公の意識の流れ」形式で描かれていて、読みにくい。私はこれまで学生時代から、おおげさでなく100回は挑戦してきましたが、多いときで最初の10ページくらい読めたのがせいぜいで、ずっと挫折していました。
講談社世界文学全集(のちに文庫化。そのあと同文芸文庫)版です。現在は岩波文庫からも新訳が出ています。

今回、読み進むことができたのは、文芸文庫に入ったおかげです(出ているのは知っていたのですが「どうせこれまでと同じだろ」と思って、ついこの間まで見もしなかったのです)。この文庫はちょっと高いけど、文字が読みやすく、紙もいい。それと、この版になって初めて、これまで読むのを妨げてきた、「意識の中の場面変換時(つまり思い出が現在の意識に取って代わるとき)」に使われていたカタカナ文が、ひらがなの斜体文字になったからです。カタカナ文の読みにくさときたら! まったく。稲垣足穂の「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」も、ちくまの日本文学全集でひらがな表記になって初めて読めました。

今、第三部(全四部)の終わりのあたりです。
とりあえず、読みきったら、ひと言書こうと思います。



前にPHP文庫から出た「草枕」のことを書きました。
同じシリーズで、太宰治の「人間失格/富嶽百景」と、宮沢賢治「銀河鉄道の夜/風の又三郎/セロ弾きのゴーシュ」も出ています。どれも思い切った収録作品数で(表題のものしか入っていません)、字が大きくて読みやすい。あらためて読んでみるにはとてもいい企画だと思います。漱石のものをもっと出してもらえるとうれしいですね。とくに小品を。



では、また来週。
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