鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

不倫の背後の意外な事実が明らかとなって、棄却の公算が大の慰謝料請求の民事裁判

2017-10-25 | Weblog

 25日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時半から613号法廷で開かれた女性が元夫の浮気相手に対し、慰謝料を請求する民事裁判を傍聴した。開廷間際に傍聴席に座ると、30代とみられる美人の原告、被告が神妙に席についているなか、裁判長が書記に「原告の夫が来ないのか」と確かめさせる指示をし、書記が法廷の外まで見に行くような場面があった。結局、待ち人来たらずで、原告、被告だけの対決で開廷された。よくある不倫相手に慰謝料するケースだったが、証人尋問を聞いていくうちに意外な真相があきらかとなり、どんでん返しともいうべき展開となった。

 まず証人尋問に立った原告は代理人に質問に答える形で、「平成27年11月末に夫が家出をし、その時に『外の女性に子供ができたので、離婚したい』と言った」と証言した。そこで、原告は夫の使っていたパソコンを開き、夫が宅急便で荷物を送った先が浮気相手の住所であることを突き止め、原告に話を聞こうと思って、原告の勤務先や、住所を訪れたが会えなかったので、抗議のメモや、手紙をポストに投函などした。さらにこうした場合の慰謝料の相場を調べ、15億円という法外な慰謝料を請求することを決め、相手に支払い能力がない場合に備え財産保全の申し入れも行った。その後、弁護士のアドバイスを得て、今回655万円の慰謝料を請求することで起訴した。

 原告は東大卒でITコンサルタントとして従事しており、夫とは25年10月から同棲を始め、26年2月に入籍し、同年10月に結婚した、という。夫は年収1200万円だが、結婚の際指輪を買うのに大金をはたき、無一文になった、という。原告は「夫が家出するまで、浮気していることは一切知らず、裏切られた思いである」と告白した。それで、28年11月に夫とは離婚し、いまは旧姓に戻っている、という。ここまで聞いている限り、被告は夫と結託して原告をいたぶっているとんでみない悪女のように映っていて、平然と被告席に座って、原告が陳述する度にメモを書いて横の代理人に見せている姿は確信犯のように映っていた。

 ところが、被告の尋問に移って、実は被告は旅行先のスペインで留学生だった原告の夫と知り合ったのは平成23年1月以来、海を越えてデートをし、留学席から帰国してからも二人は親密に愛を育んできて、被告の父が経営する会社の役員にもそろって就任し、周囲も二人が結婚することは当然と思っていたし、被告に赤ちゃんができて、婿入りする話までしていた」、との事実が明らかになって、俄然、いままでの話の様相が一転してしまった。被告が原告の夫と付き合っていたのは原告と同棲を始めるずっと前からであり、お互い最愛の相手に他に女がいることを全く知らずに深いところまで付き合う羽目に陥っていたことが明らかとなったのである。

 それが原告が被告の会社と住所を訪れた27年2月5日になって、一挙に崩壊することとなった。被告は直ちに棲んでいたマンションから原告の夫を追い出し、付き合いは全くやめることとした。もちろん男女関係も解消した。まさに悪いのは原告の夫である。これで原告の夫は法廷に顔を出せなかったわけが了解できた。

 尋問を終えた裁判長は即座に判決を10月13日に行うと告げたが、その後で原告、被告の双方に「和解の余地があるようでしたら、この後上で協議したい」と言って、約30分後に民事45部へ来るように促しした。ただ、そうはいったものの双方が和解で歩み寄ることはなさそうで、双方の尋問を聞いている限り、被告の方に軍配が上がる感じで、結局棄却となる公算が強そうな雰囲気であった。

 

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