鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

株高をもって自らの治世の成果と誇る安倍首相はなんと軽い政治家であることか

2014-04-12 | Weblog
 政府は11日、国のエネルギー政策の基本となエネルギー基本計画を閣議決定した。原子力を「重要なベースロード電源」と位置づけて再評価し、民主党政権が2012年に打ち出した原発稼働ゼロの方針を転換したことに最大の特徴がある。2011年3月の東日本大震災から脱原発できていたのにここで大きく舵取りを変えたのはいまだに仮設住宅に住み不自由な生活を強いられている被害者の心を踏みにじるもので、安倍政権の拠って立つ基盤が国民ではなく財界にあることを示している。インドなど途上国へ原子力機器の輸出に邁進しているのも同じスタンスからで、安倍首相自ら月に1回、東日本大震災の被災地を訪れているのも単なるポーズであることがはっきりとしてきた。
 エネルギー基本計画はわが国の今後のエネルギーの依存度を指し示す重要なもので、まずは原子力をどう位置づけるかが注目されてきた。民主党政権は12年9月に「2030年代の原発稼働ゼロ」を盛り込んだエネルギー・環境戦略を作成したが、正式決定にまで持ち込めなかった。自公への政権交代後、政府は原発を昼夜を問わず低い発電コストで動かせ、エネルギー受給構造の安定性に寄与するベースロード電源と位置づけ、安定性が確認されたものは再稼働を進めることとした。もちろん、原発の再稼働にあたっては原子力規制委員会の審査に通ることを前提として、一応の歯止めを設けているが、原子力規制委員会が政府の意向を忖度して審査を進めていくことになるのは明らかである。
 安倍首相は就任以来、中国、韓国以外の国を歴訪し、すでにインド、UAE(アラブ首長国連邦)、トルコなどど原子力協定を結んで、日本から原子力発電機器の輸出の促進を図るほか、原子力発電所の建設にあたっては技術強力を行うこととしているが、この一方では日本が世界で唯一の被爆国であり、福島原発であれだけの被害をお受けていて、いまだに被害に苦しんでいる人々がいる事実があり、違和感を感ぜざるを得ない。いくら輸出を拡大することが日本の使命であるとはいえ、インドなどと原子力協定に調印するにあたって、安倍首相の頭のなかで被災者の心情というものがよぎることはないものなのだろうか。国民、選挙民の心情をどう考えているものなのか、伺いたいものだ。政治家という人の考えることは庶民とは違うのだ、ということなのだろうか。
 安倍首相に国のめざす方向なり、姿というものが見えているのだろうか。あれだけの深刻な被害をもたらした原子力発電というものはここしばらくは封じ込め、原子力発電のない社会をいうものを構築し、そのうえで、日本の社会なり、経済を立て直していこう、という気持ちにならないのだろうか。政治家というのは一般庶民の理解を超える存在とでも考えるしかないのだろうか。
 たまたま、11日の東京株式市場は年初来の安値をつけ、日経平均株価は1万4000円を割り込んだ。一時、安倍首相は株高時にいかにも自らの治世の成果であるように「株価は高くなったでしょう」と誇らしげだったが、いまの安値は自らの政策ゆえの失策と認めるのだろうか。大体に、株価を持って自らの施策の成果みたいに誇らしく語るのは政治家としていかにも軽い、低俗な政治家である。
 ここへきて、安倍首相の靖国神社参拝を憲法違反だとして全国の戦没者遺族や宗教家、市民ら546人が大阪地裁へ訴え出るなど安倍首相の施策に反対する動きが出始めてきた。就任1年半にしてそろそろ化けの皮が剥がれてきたようでもある。
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