鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

原告、被告とも社会の問題点に対する視点が欠けていて、残念な結果となった傍聴であった

2024-06-27 | Weblog

  26日は東京・霞が関の東京地方裁判所へ行き、午後1時30分から603号法廷で東京近郊の鍼灸師派遣の会社、パレ―ド社が同じく鍼灸師派遣のHITOWAライフパートナー社に損害賠償請求している民事裁判を傍聴した。まず被告側の証人が証人尋問に立ったが、最初は施術管理技術者がなんとかかんとかといったやり取りをしていて、どこに問題があるのか、さっぱりわからなかったが、聞いているうちに原告が被告の商売のやり方に問題があると指摘していることがわかってきた。

 被告は埼玉県所沢で鍼灸師を派遣しているが、同じ埼玉県狭山市にも同じように鍼灸師を派遣していることが保健所が別なので違法ということが指摘されていて、施術管理者技術者も同じような問題を抱えていることが暴露された。被告側の証人はそれを指摘されてもすでに被告会社を退職していたので、あとになって知らされた、ということのようだった。話を聞いているとこうしたことはこの世界ではどこもがやっているような状態のようで、所轄官庁の厚生労働省も訴えがない限り、放任しているような状況にある、ということも明らかとされた。

 だからといって裁判長も問題を重視するような感じはなく、続いて尋問台に立った被告側の証人も淡々と聞かれたことを証言していった。それでも法的な問題点について、突っ込むような尋問もなく、聞かれたことの経緯を証言するでけで終わってしまった。被告側の証人2人はいずれも中間管理職で、会社全体を見渡してものを言うタイプでなく、会社としての方針といったことに触れるような発言は一切なかった。

 そして、最後に証言台に立った原告に注目したが、最初弁護人が被告との団体契約の解除、および被告の不正請求について訴えていることを明らかにしたが、尋問ではそれをことさら披露することなく、事の経緯をなぞるだけの尋問に終わり、折角起訴したのだから、社会の問題点にふれるような展開を期待したが、それも空振りに終わったような感じだった。請求している損害賠償額についても明らかとされなかったのも不満だった。途中で退席してしまったので、問題の所在については納得をえられないまま中途半端な傍聴となってしまった。

 被告のHITOWAライフパートナーは鍼灸師の派遣のみならずおそうじ、靴フランチャイズなど多岐にわたる事業を展開していて、グループ全体で8000人の従業員を抱える立派な企業のようであり、社会的にも存在感のある企業にようである。にもかかわらず裁判に際して抱えている事業に関して会社としての取り組み、今後の方向などを適格に話すことのできる責任者を出してこないことは大いなる汚点ではないか、と思われた。

 裁判では原告、被告とも訴訟の争点がどこにあり、それだけでなく社会的な問題につながるような側面があれば、それについても光をあてるような視点をもった対応が期待されるところだが、今回は原告、被告ともそれについては全くの配慮がなく、期待外れの結果となったことは至極残念なことであった。 

 

 

 

 

 

 

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