鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

ノーベル賞にもウーマンリブの波がやってきた

2009-10-06 | Weblog
 5日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は本年度のノーベル医学・生理学賞を米カリフォルニア大サンフランシスコ校のエリザベス・ブラックバーン教授ら3人に授与する、と発表した。3人のうち2人が女性であるのが意外な感じがした。というのは、先日03年版ベスト・エッセイ集を読んでいたら、三重大の小川眞理子教授がそれまでノーベル賞のを受賞した女性はわずか10人しかいない、と書いていたからだ。03年当時のことではあるが、これだけ女性の社会進出が著しいのにことノーベル賞に関しては女性に脚光が当たっていないことは驚き以外のなにものでもなかった。
 小川教授によると、03年までの100年間のノーベル賞受賞者は478人で、このうち女性は約2%の10人しかいない、という。第一号は1903年に夫とともにノーベル物理学賞を受賞したマリー・キュリーで、彼女」はその8年後にノーベル化学賞を単独受賞している。2人目はそのい娘イレーヌ・ジョリオ=キュリーで、1935年に夫とノーベル化学賞を受賞している。3人目はチェコ出身のガーティ・コリで、これも1947年に夫とノーベル医学生理学賞に輝いた。初期の3人がいずれも夫とともの共同受賞だったのに比べ、その後の受賞者は単にその分野で実績を上げるだけでなく、主婦としても仕事をこなすという側面に重点があてられ、このことが女性の受賞者の出現を阻んだ、と指摘している。
 小川教授は数多くの女性の独身科学者が独身であるが故にノーベル賞受賞に至らなかったことを実名を挙げて指摘する。そして、1983年の初めて独身のバーバラ・マクリントックがノーベル医学生理学賞を受賞するに及んでその呪縛が解けた、ともいう。ノーベル賞選考委員のほとんどが男性であることは想像に難くないが、ノーベル賞といえども時代の風潮を反映せざるを得ない、ということだったのだろう。そういえば、日本のこれまでのノーベル賞受賞者は1949年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹以来16人いるが、いずれも男性ばかりである。
 ノーベル賞が対象としている科学、文学、平和部門で活躍する女性の比率が2%ということはない。半分というわけにはいかないが、いずれ10%を超えてくるのは時間の問題だろう。
 そんな声が当局に届いたのかどうか、わからないが、今年の幕開けのノーベル医学生理学賞は受賞者3人のうち2人が女性だった。対象となった染色体の末端にある「テロメア」とそれを作る酵素の機能の発見で、テロメアが染色体を老化から保護する仕組みを解明したとして、ブラックバーン教授と米ジョンズホプキンス大のキャロル・グライダー教授、と米ハーバード大のジャック・ショスタク教授が受賞となった。前2者はいずれも女性で、グライダー教授は48歳と若い。もちろん、女性2人がノーベル賞を同時受賞するのは初めてのこと、という。
 6日の物理学賞以降、化学賞、文学賞、経済学賞と発表が相次ぐが、これをきっかえに女性の比率がぐっと高まることになるのかもしれない。
 
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