鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

最初から最後まで隠密裡にことを進めようとする日揮のスタンスはおかしい

2013-01-26 | Weblog
 アルジェリアの日揮社員の一行を乗せた政府専用機が25日早朝、羽田空港に到着した。日揮、および政府関係者が花を持って厳粛に出迎えた。このあと日揮は横浜本社で川名浩一社長らが記者会見し、同じころ安倍首相も対策本部で報告を受け、両者とも「痛恨の極み」と哀悼の意を表した。政府はこの段階で亡くなった10人の氏名を公表したが、すでにマスコミには名前が知れわたっており、何をいまさらもったいぶった公表をするのか、と訝しい感じがした。さらに生存者7人のうち誰一人として登場せず、事件の様子を日揮の広報担当者を通じての報告で済ませたのは解せないことである。
 川名社長はアルジェリアでの武装勢力乱入事件で日本人7人と外国人54人が生存し、10人の日本人と6人の外国人が死亡し、いまだに1人の安否が不明である、と報告した。天然ガス開発施設で働く人は数百人いると思われるが、日揮が受け持っている業務に携わっている関係者が78人いたことになるが、日常業務の運営なり、安全確保のうえでどういう体制となっていたのかがさっぱりわからない。施設の警備は厳重で、アルジェリア軍が警備にあたり、ミリタリーゾーンとなっていた、という。そのなかで日揮がいかなる組織、体制のもとで運営にあたっていたのかが、この段階に至っても明確にされていないのはおかしなことだ。
 亡くなった10人の日本人のうち5人が日揮の社員で、残り5人が派遣会社からの派遣、もしくは短期の契約社員であったようだ。契約の内容もそれぞれ違うようで、今後の補償金の支払いについても微妙な問題をはらんでいるようで、最後の最後まで名前を公表しなかった理由もどうもそこにありそうだ。
 25日付けの毎日新聞のコラム「発信箱」で論説室の福本容子委員が「日本の報道は何人だけ」と揶揄していたが、これ以外にも日本のマスコミの報道の仕方は海外では異様に映ることがるようだ。海外でこうした事件があると日本のマスコミは事件そのものの全容なり、背景より、専ら日本人の死者は何人とか、日本人の動向なかりを追いかける。今回はこれに日本政府と日揮が輪をかけたように匿名報道に徹したことが異様な感じを与えたようだ。
 それと生存して帰還した7人のいずれもが一切新聞、テレビなどマスコミの前に姿を現さなかったのは解せないことである。日揮の広報担当者が生存者の手記を読みあげていたが、なぜ本人自身が出てこないのだろうか。刑事事件で裁判に影響があるから発言しない、というのなら、わかるが、無事に帰還したのだからなんらかの形で肉声を伝えるべきだと思う。また、アルジェリアに戻って仕事を続けるので、正体をさらすと再び危険にさらされる惧れがある、とでもいうのだろうか。国民の税金で運用している政府専用機を使って帰国しているのだから、少なくとも国民の前で事件の実態を報告する義務がある、と思うがいかがなものだろうか。今回の事件を精査して、今後の教訓なり、対応を考えたい、としているのだから、ここは何が起きたのか、リスクに対する備えは万全だったのかなどを総ざらいして、国民の前にすべてを公開すべきではないだろうか。そうしないと、社員の理解すら得られないことになりはしないだろうか。国際社会にテロというのがいかに悪辣で、悲惨なものかを訴えるべきで、そのためには具体的に起きたことを明らかにすべきだろう。
 今回のアルジェリア人質事件は発生して以来、隠密裡にことを進めよう、とする日揮のスタンスが気になっていたが、こうして最悪の結果が出たいまの段階になってもそのスタンスが変わらないのは不自然なことである。エンジニアリング会社というのが世間的には一体どんなことをしているのかわかりにくい業態であるが、こんなことでは今後、日揮が進めようとする海外でのプロジェクトに協力しようと思う企業なり、人はでなくなることだろう。海外の企業でも同じことであろう、と思う
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