鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

懐の深い米国の外交の思想、精神を日本政府も見習うべきではないか

2013-01-25 | Weblog
 国際政治学者の藤原帰一東大教授が先日、朝日新聞ノコラム「時事小言」に米国マンスフィールド財団によるマンスフィールド・フェローシップなるものを紹介していた。米国の公務員が日本の政府で1年働くというもので、給与は米国政府が支出するが、勤めている機関が出向中の給与を負担しない場合はマンスフィールド財団が支給する。日本政府での配属は本人の希望と日本側部局の意思によって決まる。米国連邦政府に2年以上続けて働いている米国民ならでれでも応募っできる、というものだ。
 日本語がまるでダメな人でも、日本の公務員と同様に議論に加わって書類を作成する能力をたった1年で身につけなければならない。このためにフェローに選ばれた最初の1年は徹底した日本語の語学研修を受けなければならない。米国での研修を終えた後は日本でホームステイを経験したのち、希望する日本官庁の配属先で、日本の公務員と交って仕事をsうる。インターンみたいなものというが、なかには50歳を超える人もいる、という。
 この制度は1990年代初め、日本経済の急成長とともに日米間系は規制緩和を求める米国政府の要求もあって緊張関係にあった。米国政府のなかに日本についての知識が乏しいと考えたマンスフィールド元駐日大使は時のモンデール大使などの賛同を得て、米国の公務員に日本語の特訓を与え、日本政府内で働かせる、という計画を立てた。以来、毎年4、5人の日本の実情をつぶさに知る米国人官僚を輩出してきた。彼らが日米の外交関係の表舞台、もしくはその裏で多大な貢献をしてきたのは間違いないところだ、という。たとえば、危機管理の専門家、レオ・ボスナー氏はこのフェローシップを終えたのちも日本関係のい職務を続け、在日中に東日本大震災を経験すると救援活動に関わり、その後も日本側関係者と協力しながら災害復旧活動を続けている、という。ボスナー氏以外にも米国財務省や国務省でマンスフィールド・フェローは数多くいるといわれており、陰になり、日向になりかれらが良好な日米関係の力になっていることは疑いない。
 日米間のこうしたものとしては1946年に当時の米上院議員、Jウイリアム・フルブライト氏が「世界各国の相互理解を深める」目的ではじめられたフルブライト奨学生制度があり、これまでの60年間に日本から6300人もの奨学生が米国での留学を行ってきている。引用した藤原帰一教授もその一人であり、マンスフィールド・フェローシップは逆に米国から日本へ学びにくるものであるが、発想は同じものである。大国のアメリカにはキリスト教の思想から来るのか、ともに世界で生きる人々を理解し、ともに生きていこう、との考えがあるようで、懐の深い思いを感じさせてくれる。しかも相手は第2次世界大戦で戦いを挑んできた日本である。日本の外交もこんな思想、精神をもって行うことがいま求められているのではないか、と考えさせられる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本ハム首脳陣よ、大谷翔平... | トップ | 最初から最後まで隠密裡にこ... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事