prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ツォツィ」

2008年05月03日 | 映画
人を平然と殺す不良が、たまたま縁を持ってしまった赤ん坊を助ける、というドラマは最初見ていて甘いのではないか、と思えた。
チャップリンの「キッド」みたいに別に人殺しではない浮浪者でも赤ん坊を自分で育てるようになるまで非常に丹念にプロセスを積み重ねていたのに対して、いやにあっさり車から赤ん坊を連れていく。身代金をゆすりとるためにさらったのか、と思ったくらい。

もっとも、ずっと見ていくと赤ん坊を救うヒューマニズムより、ツォツィ(不良)が「自分を大切にすること」を学んでいくドラマとすると筋が通っていてラストがぴしっと決まることがわかる。だからといって、そこで冒頭のひっかかりが解消されたかというと、微妙なところ。
(☆☆☆★)


「亀は意外と速く泳ぐ」

2008年05月02日 | 映画

作中のラーメン屋で、本当はすごくおいしいラーメンを作れるのに「スパイとして目立たないために」そこそこおいしいラーメンで抑えている、というのが出てくるけれど、この映画もそこそこ面白いが、しかし本当はすごく面白い、とまではいかない。

理屈をつけるのを拒んでいるようでそうでもないので、「普通」と「普通でない」の対立がヒロインのスズメとライバルのクジャクの関係など全編にわたっていろいろと変奏されて、普通のように見せかけたヘンな世界が繰り広げられるのだけれど、本当に普通で平凡なものというのは逆に表現しにくいものではないか。映画に写された途端に「普通」ではなくなるともいえるのだし。だからただヘンなだけ、とも見えて、ついていけない人は置いてけぼりにしてしまう。
(☆☆☆)


「蟲師」

2008年05月01日 | 映画
冒頭の湿気にモヤった山々のショットは期待させるが、その後のストーリー展開までモヤっているのは困りもの。
総集編でも見ているようで、流れも盛り上がりもあったものではない。だいたい、「蟲」ってなんなのか、原作を読んでいない限りわからないのではないか。
(☆☆★★★)