prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「恍惚」

2008年05月20日 | 映画
女医をしている妻が自分で金を出して娼婦を雇い、夫を誘惑させて浮気の情事の様子を微に入り細に穿ってしゃべさせて聞き入る、という話なのだが、本当に夫は浮気しているのか具体的な場面はまったく出てこないので、もしかするとまったくの娼婦の作り話ではないかとも思わせる。

虚実定かならぬ中、男が浮気の「話」を聞いて回春の手段とするとしたら谷崎潤一郎ばりの話なのだけれど、これが女の話となると別に夫との仲が一見して大きく変わるわけではないのが不思議な感じ。
途中から手詰まりになったのか狙いなのか、後半新展開がなくなるのでけだるい感じになる。

婦人科の女医という設定で、患者の乳房を触診しているさりげない情景などが、娼婦と共に「女だけの世界」を作ってしまうのとつながっているよう。
ファニー・アルダンとエマニュエル・ベアールが並んでいるとあまりにタイプが違うので半ばカップルみたいで、夫役のジェラール・ドパルデューは蚊帳の外という感じ。
(☆☆☆★)


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