prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

リサイタル

2005年06月13日 | Weblog
津田ホールで、原田とみ子リサイタル。
73歳だというが、頭のてっぺんから出てくるみたいな声。

写真は、千駄ヶ谷駅の水飲み場。

プラウザにIE以外にMozzillaを併用しているが、会員番号やキーワードの類をプラウザで記憶している機能があるのは便利。



パーティはそのままに

2005年06月12日 | Weblog
東京天然デザート公演。アイピット目白にて。
定食屋を改装して踊りも見せる小定食屋(?)を開店するのにあたって、女に二股かけて金融屋に追われている兄が帰ってくるドタバタに、ダンサーのしごきほかが絡む。
ラストが踊りで盛り上がるのは容易に見当がつくので、話にオチがついたあと場面転換して一呼吸入れるのは、まわりくどい感じ。
男に惚れられたバーのママが、カツラを取ると実は男というのはもちろん「お熱いのがお好き」のラストで、「誰にでも欠点はあるよ」なんて言い出しはしないだろうな、と思ったが幸いそうはならなかった。いや、別に関係ないのかな。
チラシが少女マンガ風の絵が使われているのだが、出てくる役者は劇画風容貌多し。

今頃なに言ってる、と言われそうだが新宿駅で表示が日本語とローマ字だけでなく、中国式の簡体漢字とハングルが併記されていた。ローマ字書いてありゃ、わかるんじゃないのか。そっち方面がうるさいから、対応して見せてますって感じ。

MXテレビで立川談志が「こぶ平が面白いっていうのがいるんだから、文化ってのはどうなるんだ」と発言。まだこぶ平って言っているのは、イヤミか、本当に忘れているのか。



「キングダム・オブ・ヘブン」

2005年06月11日 | 映画
これ、なんで戦ってるのか、わからない戦いなのだね。いや、元の十字軍の戦い自体、そうだったのだろうが。
だから、勝った負けたが意味をなさず、和平を結んでお終いというのは他にありえないにせよ、早くそうすればいいだろ、とツッコミを入れたくなる。ひっこみがつかない、とか戦争を利用している連中がいるとか、そうできない事情が内部的にあるにせよ、それがあまり表に出てこない(司祭がはなはだ否定的に描かれてはいるが)し、第一主人公自体あまり決定的なポジションにいるわけではない。

キリスト教とイスラムとが敵対しながら一種のコミュニケーションが成り立っている図がもっときっちり出ていたらよかったのだが、時期が時期だけに各方面に気を配りすぎて、その分視点がぼやけた感じ。
スペクタクルの方はさすがに大規模で、映像も時代考証も見応えあり。ただ、これといった新味はない。櫓の将棋倒しの撮影は大変だったろうが、それで勝敗が決するわけではないので、今一つピリッとしない。

エンドタイトルを見ていたら、故ジェリー・ゴールドスミスの曲が使われていたらしい(どこの曲だか、よくわからん)。「エイリアン」ではテストのつもりの曲が使われたり、「レジェンド」ではタンジェリン・ドリームにすげ替えられたりと、ゴールドスミスはリドリー・スコットに雑に扱われたきらいがあるのだが、これはどうなのだろう。
(☆☆☆★)



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「マイ・ブラザー」

2005年06月10日 | 映画
広く言って賢兄愚弟もの。兄に障害があるのがちょっとひねっているが、障害者=いい人というパターンに収まっていて、かえってひと事じみて見える。

偶然か知らないが、弟が校庭を自転車でまわる画や、ヤクザに足をつっこんで痛めつけられてから抜けるあたり「キッズ・リターン」にちょっと似ている。暴力描写がかなり目立つところや、恋愛がらみの描写がありそうでないあたりも。
クライマックスの殺し場、誰がなんで殺したのかよくわからなかった。

呑み屋での兄弟の和解の場面とか良い情感が出ているところはあるのだが。
(☆☆☆)



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「麦笛」

2005年06月09日 | 映画
なんか小津安二郎みたいな題名だが、原作は室生犀星の「性に目覚める頃」(今見るとすごい題名)。
主演の青山京子、久保明は、このちょっと前に「潮騒」で主演したコンビというから、この頃('55年、ちょうど半世紀前)の青春ものの顔ということになるのだろうが、今の“青春”ものとの感覚との違いは、古いとかいうのを通り越してほとんどカルチャーショックに近い。

「雁」に続いて見た豊田四郎監督・三浦光雄撮影作品としては、ロケが多い分完全にコントロールしきれない画が多いが、どんより曇った雲の間から陽光が射し込んでいるのを狙って撮った海辺のラストカットは、すごい。
(☆☆☆★)



「雁」

2005年06月08日 | 映画
木村威夫の「映画美術 擬景・借景・嘘百景」を読んだ直後だったので、三つのスタジオの壁をぶち抜いてつなげて作ったという無縁坂の大セット(美術監督・伊藤熹朔 美術・木村威夫)を楽しみにしていて、予想以上の手のかかり方にびっくり。木の枝葉の間から朝日がのぞいているロングショットを外景セットで作っているのだから。
絶妙なグレイトーンに、ときどき照明で隈取りのようなアクセントをつけたアップを入れたりする三浦光雄の白黒撮影の迫力。
雨が降ってくる前の明るくなったり暗くなったりする光を再現したスタッフワークの充実ぶり。

東野英治郎の高利貸しの妾になった高峰秀子の家に浦辺粂子の本妻が訪れるところで、二人の女の日傘の柄がまったく同じなのを真上から撮って一瞬に見せる演出の冴え。
どしゃぶりの雨の中、本妻が路地にすーっと立っている図の怪談そこのけの恐さ。
しかし、借金のかたに取り上げた反物で妾の着物をこさえたりしている(それでこっちでも女同志の喧嘩になる)のだから、この高利貸しの女に対する無神経ぶりは相当なもの。

口で吹きながら飴細工を作っている高峰のアップから始まるのだが、そのぷうっと膨れたような無言の顔に、飯田蝶子の長々としたクドキがかぶさるあたりから、まことにいわく言いがたい微妙なニュアンスの塊みたいな表現の連続。
日本映画全盛期('53)の総合的な技術力を堪能する。
(☆☆☆★★★)



「炎のメモリアル」

2005年06月07日 | 映画
ホアキン・フェニックスが救助中の事故で燃えるビルに孤立する状況から始まり、消防士としての人生がフラッシュバックされていく構成で、これラストから逆算すると人生走馬灯状態になっているのはわかるが、流れで見ていくとラストでなんかスカされたような感じもする。
消防士という人の生き死にに直接関わる職業だと場面場面が全部ドラマチックなので、かえって全体とするとドラマが組みにくい感じ。かといって作り過ぎてよくなるものではないだろうが。

CGに頼らない、役者たちが体を張ったドキュメンタリー調の火災場面は迫力十分。
音楽がアイリッシュ調だなと思っていると、聖パトリック祭が描かれてアイリッシュ色をきっちり出していた。「バックドラフト」もアイリッシュ色を出していたが、あれはシカゴが舞台で、こっちはボルチモア。場所は違っても消防士にはアイリッシュが多いということか。

待機中はバカないたずらばかりしている野郎どもが、出動のベルが鳴るとともに一転するメリハリ。その時タバコを消していくのをきっちり写していたり、現場のビルの階段を登っていくとネズミがぞろぞろ逃げ出してきているといったディテールが面白い。

「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12カ月」でもそうだが、ジャシンダ・バレットはいかにも美人という感じ。
ロバート・パトリックが鬚を生やして「ターミネーター2」の仇役とはまったく違う顔で登場。

エンドタイトルが終わってカーテンが閉まる直前に、この映画は「東京現像所」がプリントしましたと大きく出る。ユニバーサル・スタジオの広告はいやという程見せられたが、これは記憶にある限り初めて。
(☆☆☆★)



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「シルミド」の地上波初登場

2005年06月06日 | Weblog
「シルミド」を日曜洋画劇場で見るが、北朝鮮の襲撃と主人公カン・インチャンの殴り込みをカットバックするオープニングがそっくりカットされているのにびっくり。しかも、予告編にはそこのカットが使われているのに、だ。
「シュリ」でも北朝鮮の特殊部隊の訓練を描くオープニングがそっくり切られていたが、北朝鮮の訓練だの襲撃だののシーンは、地上波では放映できないということか?
なまじっかそれで話がつながる分、なお困る。

見る前は日本語吹き替えだともっと印象がおとなしくなるかと思ったが、それほど違わない。人名が耳に残りやすいというメリットもある。

宣伝番組でちらと見たが、死刑になったシルミド部隊隊員の弟が出てきて、兄が入隊する前に俺が帰らなくてもお金がたくさん入るから、と言い残していったと証言する。
死刑になった場所というのが、ただの道端みたいなのが異様。

「シルミド」



古めかしい

2005年06月05日 | Weblog
iPodを買うつもりでいたら、今のMac9では使えないのでやめる。
というより、なんで今まで買わなかったかというと、前に使えなかったのを知ってやめたのを思い出した。ボケてきてるな。

久しぶりに日比谷図書館に行くと、いつのまにか貸し出しカウンターが一階に来ていた。
本を持ち出す不届きものがそんなに多いのだろうか。
CDの一部が開架式になっていたので、買って聞くことはまずなさそうな日本の現代音楽をまとめて借りる。もっとも、現代音楽といっても武満徹とか早坂文雄とか一柳慧といった、すでに古典に入っているものしか置いてないが。

タダシタナカの「日本プロレス帝国崩壊 世界一だった日本が米国に負けた真相」を読む。キワモノっぽい題名だが、内容はプロレス界に限らず、一部で情報を囲い込んでしまい、それにマスコミ(情報産業というべきか)が迎合してお仲間になってしまう日本社会の体質全般に及ぶ。
文体が誰かに似ていると思ったら、映画監督の原田真人。外国に長く住んで、外から日本を見ている日本人の目が共通しているみたい。


「デンジャラス・ビューティ2」

2005年06月04日 | 映画
前だったら男同志で作っていたアメリカ映画お得意の相棒映画バディ・フィルムを、女二人にあてはめて作ったわけね。
演出がどうにもヌルくて、エイドタイトルのNGシーンと本番とどこが違うのかわからなかったりする。
ドリー・パートンが出てくるシーンで、なぜか「脱出」のテーマ曲の「デュエイング・バンジョー」がかかる。サンドラ・ブロックはサントラのプロデュースもしているが、どういうつもりだろう。

ウィリアム・シャトナー(「スター・トレック」)、トリート・ウィリアムズ(「プリンス・オブ・シティ」)、アイリーン・ブレナン(「スティング」)といった役者たちが、エンドタイトルまでほとんど誰だかわからないくらい太って出て来たのにびっくり。
(☆☆★★★)




「バタフライ・エフェクト」

2005年06月03日 | 映画
コリン・ウィルソンの「賢者の石」ばりの意識の拡大による時間旅行もので、SF的なガジェットを使った時間旅行と違って多少強引なことをしても許される感じ。

よかれと思って過去をいじると、こっちを立てればあちらが立たずという感じで思わぬところに悪影響が出てしまう。そのモグラ叩きみたいな繰り返しで、主人公の掌に聖痕が現われるあたりからも、逆説的に神ならぬ身の人間には運命を決めることはできない、とでもいった思想がうかがえる。
「デッドコースター」の脚本チームの監督作だというが、あれも人の運命は変えられない話だった。

ほとんど知らない役者ばかりだが、次々と変わる境遇に合わせてメイクを変え扮装を変えて演じ分けるあたり、みな腕をふるっている。一人だけ知っていたエリック・ストルツがまた、なんという役どころ。そういえば、彼は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主演にキャスティングされて途中で降ろされたのでしたね。
性的暴力を含めて子供(それから動物)に暴力がふるわれる、あるいは子供が暴力をふるうのを描くのはアメリカのメジャー映画ではタブーだったのだが、かなりの程度踏み越えていて、ぎょっとさせられる。
(☆☆☆★)



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ディープ・スロートその後

2005年06月02日 | Weblog
ウォーターゲート事件の情報提供者、いわゆる「ディープ・スロート」の正体が判明。
それにしてもこのネーミング、明らかにハードコア・ポルノ映画のはしりからとったものなのだが、今どれくらい通じるか。
それと、もっぱら今度の件でも発言しているのはもっぱらボブ・ウッドワードの方で、ウォーターゲート事件をスクープした相棒のカール・バーンスタインはまったく登場せず。名声を得て有頂天になって酔っぱらい運転をしたり女性スキャンダルを起こしたりで英雄の座から転落したというのだが、今どうしてるのか。
映画の「大統領の陰謀」を製作・主演したロバート・レッドフォードは、後で少し記者を英雄的に描き過ぎた、とコメントしている。
さらに余談ながら、映画の「ディープ・スロート」の主演のリンダ・ラブレイスは後でポルノ演技を意思に反して強要されたと訴えて本まで出している。



「花と蛇2/パリ・静子」

2005年06月02日 | 映画
1作目は見ていない。
石井隆の映画をスクリーンで見るのは久しぶり。前みたいにきっちり構えた画ではなく、フレームが揺れていたり、アクションの途中で細かくカットを割ったりと、現場中継風のリアルな演出。
劇中の絵にいかにも石井隆という絵を使うのかと思うが、そうではなかった。絵描きという意識をここでは離れているみたい。

アダルトビデオはまるで見ないので今どきのSM描写が平均どの程度いっているのか知らないが、これ相当にハードなのではないか。杉本彩姐さん、大奮闘。
ストーリーも縛りの技も凝っているし(凝り過ぎてギャグに近くなっているところもあり)、1時間50分と長いがほとんど飽きない。
宍戸錠が意外な役のようで結構はまっている。

フランスが主な舞台だが、外人はほとんど出てこなくて、出てきても仮面をつけている。下手に舶来風にするとニュアンスが変になるので、あえて外している感じ。
(☆☆☆★)



花と蛇2 パリ / 静子 - Amazon