prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「幸福」

2003年09月27日 | 映画
81年の映画なのだが、エド・マクベインの原作を日本で映画化する時、海外では上映しないという条件つきなのを映画祭ならいいだろうとアメリカのどこかの映画祭で上映したら、これが契約違反ということでビデオ化もテレビ放映もできないでいたのが、珍しくフィルムセンターということで上映が可能になった。

「家族ゲーム」と同じ頃なのに、驚くほどここで描かれる東京の風景は“戦後”“バブル前”のものだ。どこも全部同じようにのっぺりする前の、ひとつひとつ違う皺の寄せ方をしている街がここにある。銀残し現像で色の彩度を落とし黒をかぶせた画調が、今のプラスチックめいたきれいさに慣れた目には逆に新鮮に写る。ドラマのメインになっている親子関係の濃さも。恋愛描写の方はいかんせん違和感が強かったが。

しかし、当時はともかく、今だったら殺された女性の恋人の刑事は捜査から外すのではないかと思わせる。水谷豊とか永島敏行とか、今ベテランの域に入ってきている役者の若いのなんのって。
(☆☆☆)


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