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プロになるには女子という体力的にも社会的にも大きなハンデを負ったヒロインが、ムリに速球を投げるのではなく回転数の高さを生かしてナックルを投げる投法に切り替えるのが、一本の物差しに囚われるのではなく、それぞれのやり方で進化すればいいという多様性の考えを見事に現した。
ヒロインを追い越してプロ指名を受ける同級生の男子の描き方がいい。
幼なじみでリトルリーグからずっと一緒に野球をやってきたが高校卒業時には残っているのは二人だけ、小学生の時はヒロインより全然身体が小さかったのが(そういえば小学生から中学初めの頃は女子の方が身体が大きいのだったな、と思い出した)高校になってぐぐっと身体が大きくなり、それまで負けていた悔しさをばねに力をつけたという設定で、それなりにコンプレックスを自分の美点で克服したともいえる。
前半羨望や嫉妬の色を見せていたヒロインが、ラスト近く仲間意識を確認して(変に恋愛がらみにしない)プロになれたのを素直に祝福するまでになるのがとてもいい。
厳しくあたる母親も、かなり生活能力のない父親もそれぞれ仇役がかって描こうとすればできたのを、それぞれ感化されて変わっていく、
ちょっとだけ出るアメリカ帰りの女子の点描に至るまで、キャラクターそれぞれに目が行き届いていて、良い意味で優等生の模範答案みたい。
しかし、昔だったら夢物語かお笑い草だったような女性のプロ野球選手の話がこれだけ堂々としたドラマになる(ハードルが高いからドラマになるのだが)のだから、時代は変わるもの。