prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「恥」

2010年04月27日 | 映画

戦争が「外」から迫ってくるより、身近なところがいつのまにかじわじわと変質していく感じが強い。
スウェーデンは永世中立国だから直接交戦することはない建前だが、旧ソ連がすぐそばにあるわけで戦争と無関係ではいられず、かといって直接関与はできない隔靴掻痒感が反映しているのだろうが、それ以上に戦闘員同士でだけ戦われるという近代戦の建前を裏切って非戦闘員・一般人を容赦なく巻き込んでいく現代の戦争の普遍的な性格がよく出た。

ベルイマン作品で女ががらっと変わるところはたびたび見せられてきたが、ここではマックス・フォン・シドーの卑怯で臆病な夫がくるっと裏返しになるように暴力的になるあたりが凄味がある。
リブ・ウルマンはいまさら誉めそやすこともない名女優だが、これはとびきりの、これ以上考えられないような名演を示す。
(☆☆☆★★★)



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