prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「パーティクル・フィーバー」

2017年05月19日 | 映画
スイスとフランスの国境地帯にある巨大加速器セルンで行われた実験で、ヒッグス粒子の証明に至る結果が出る過程を描くドキュメンタリー。

まずセルンの建築物としての規模の巨大さ、さらに働く科学者たちの数の多さに驚く。
みんな超一流の学者だろうに、自転車に乗ってきたりラフな格好でたむろしていたりと、けっこうごしゃっとしている。

物理学は理論が立てられそれを証明するために実験を行ったら、予想されたのとはかけ離れた結果が出てしまい、さらにそこから新しい理論が立てられ、と車の両輪が回って進んでいくのを一人の天才学者が完成するのではなく大勢の中のやりとりとして見せるのが、おもしろいところ。

他の場でも見ることがあったピーター・ヒッグス博士が自分の理論が裏付けられて感無量といった図も、実験そのものにたずさわった大勢の科学者たちを追ったうえで、彼らに囲まれて祝福されるとなるとまた別の感慨が出てくる。

おそろしく浮世離れしているような量子力学の世界もそれにかかわる人たちを通してみると、人間がずうっと持ってきていた宇宙の成り立ちを知りたいという欲求にすんなりつながるものがわかる。

ラスト近くで科学者の一人がヴェルナー・ヘルツォークの「世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶」に触れてあれは素晴らしいと言ったりするのがうまく収まりを見せた。



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