prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「土を喰らう十二ヵ月」

2022年12月06日 | 映画
オープニングで東京の風景にジャズ調の音楽がかぶり、そのまま雪に埋もれた地方に車で移動する。
都会にジャズというのはありがちだけれど、雪景色にもかぶせるのが、こういう地産地消の生活も同じようにお洒落なのですといった目配せに思える。

沢田研二が登場した時はずいぶん老けたなと思わせてお茶を本格的にたてるあたりで逆に「TOKIO」を歌っていた頃の毒気がある人から毒気が抜けた味わいを出すのが、里芋を洗って調理する素朴なようでお洒落な感覚に通じる。
沢田研二自身は鳥取の出身。

おそらくご多分に洩れずだろうが、水上勉の原作(原案)は「美味しんぼ」で知ったのだが、エコ志向と経済効率至上主義批判の臭みからは周到に距離を置いている。

通常の土井善治の一汁一菜のシンプルさをちょっと本格的にしたら、逆の意味ですごく贅沢なことをしているのがわかる。