prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「シーフォーミー」

2022年09月02日 | 映画
視覚障がい者を主役にしたサスペンスものは古くは「暗くなるまで待って」「見えない恐怖」から最近の日韓中でそれぞれ作られた「見えない目撃者」までずいぶんあるけれど、当然ながら今風にアップデートしてある。

タイトルのシーフォーミーというのはスマホにインストールしてある、声で起動操作できる支援アプリで、繋がったヘルパー(別に面識がある必要はなく、その時偶然繋がった者が務める)がスマホのカメラを通して周囲の状況を知らせる。

主役のスカイラー・ダベンポートは 、実際に成長してから視力を失ったという。
健常者の見えないふり演技と違って、動作や表情や光に対する反応が(明るさ程度はわかる)健常者とさほど変わらない。
逆に健常者の俳優が演じる時は一種記号的に目が見えないことを表現しているのかもしれない。

大金持ちの家で留守中に猫の世話をするバイトをしている内に強盗団が押し入ってくるという話は定番だが、その強盗団のなかなか姿を見せないリーダーの正体と目的の設定が、なるほどありそうと思わせる。

普段はゲーマーをやっているヘルパーがシーフォーミーで繋がって遠隔で支援するあたりは「セルラー」「コネクテッド」の発展系。

ヒロインが失明したことでスキースポーツの道を絶たれたこと、そのせいか人に世話をやかれるのをいささかムキになって拒否すること、場合によっては悪いことにも手を染めるのも辞さないあたりは、一方的な弱者、保護されるべき対象として描くパターンから抜け出てきている。