prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「少年の君」

2022年01月22日 | 映画
中国社会の激烈な受験競争といじめと、格差を超えた恋愛というずいぶんと欲張った内容。
チンピラと優等生の女の子の組み合わせって、日本のマンガかと思うような話。

受験の描写は日本に似ていてそれ以上にファナティック。日本だと経済的に余裕がないと受験勉強もできないという状態になりつつあるというが、これ少し昔の話だが、中国はどうなのか。

後半の展開が迷走気味で、「白夜行」みたいな傍からはわからない男の犠牲の上に成り立った女の(世間的な)成功という図に収まるのかと思ったら、そのあとあまりいい意味でなく二転三転する。
昔のハリウッド映画みたいに一種の勧善懲悪というか犯罪が罰せられないとまずいという倫理規定みたいなものがあるのか。

中国ではどれくらいの罪に対して刑罰がどれくらいなのかよくわからないのだが、人が死んでいるのにあれくらいで済むものなのかと不思議に思う。
情緒的なシーンが実にこってりしていて、初めはいいのだが、だんだんもたれてくる。

ラストのとってつけた感がなかなかすごい。いじめ問題に共産党政府はこれこのの通り対応しておりますというわけだが、だったらウイグルやチベットはいじめというレベルじゃねえだろと突っ込み入れたくなる。