prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミッドサマー」

2020年03月06日 | 映画
ミッドサマーといったらシェークスピアのA Midsummer Night's Dream(夏の夜の夢)を当然に思い出すわけだが、前は真夏の夜の夢と誤訳されていたくらいMidsummer(夏至)というのは日本ではイメージがつかみにくかったと思われる。

ヨーロッパの緯度の高い場所だと日がずうっと沈まず柔らかい光が絶えない玄妙な雰囲気が続くのを妖精が出没するファンタジックな舞台に生かしたわけだが、それをまたアレンジしたのがイングマール・ベルイマンの艶笑喜劇「夏の夜は三たび微笑む」ということになる。

で、果たせるかな登場人物にイングマールという名前がつけられている見てにやりとする(珍しい名前ではないが)。
白い服を着たコミューンのメンバーが手をつないで長い列を作ってぐるぐる踊るというのは、ベルイマンの「ファニーとアレクサンドル」のクリスマスパーティの再生とも見える。

アバンタイトルの雪の夜のシークエンスの異様なタッチが一転した明るい場面が続くうちに忘れてしまうのだが、ラストのラストで冒頭とつながる。

独自の論理による習慣を守っているコミューンに外部の街の人間たちが紛れ込むという話は、構図とすると「食人族」とかと実は同じ。その土俗の論理の異様さという点で諸星大二郎を思い出したりしたが、表面的な白っぽく植物や花で飾られたメルヘンチックなヴィジュアルとのコントラストの分、なお奇怪。

花や草が萌えるのがこれくらいグロいテイストで映像化されたのも珍しい。




3月5日のつぶやき

2020年03月06日 | Weblog