prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」

2015年10月24日 | 映画
原題はThe most violent year。1981年のことらしい。まだニューヨークの街がおそろしく荒廃していて地下鉄は落書きだらけで1970年代の面影が濃い(この時代の再現が何でもないようだがすごい)。

トラック運転手の業界というのは特にアメリカではずいぶん荒っぽい世界のようで、労組の委員長をしていたジェームズ・ホッファがおそらくマフィア絡みで消されたことが実際にあったりしたのだが、この映画の主人公はずいぶん短期間でトラック輸送の会社で成功したが、非合法な手法や暴力に頼るのは避けるようにしている。

綺麗ごとが通用すると思っている甘ちゃんかと思うとそういう感じでもないので、演じるオスカー・アイザックがそのままマフィアの若頭あたりを演じても様になるマスクとりゅうとしたスーツの着こなしで押し出しよく見せる。
もっともやっていることというともっぱら金策に走り回っているのであって、意外とセコイというか身につまされる。

ジェシカ・チャスティンがタバコの吸い方、ワインの飲み方、タイプの叩き方(指ではなく鉛筆のお尻でカチャカチャやっている)のひとつひとつにまで何か育ちの悪さを窺わせる。着ているのはアルマーニ(と、エンドタイトルに出る)なのだが。

彼の会社のトラックの荷を盗む事件がたびたび起こり、身を守るために銃で武装した若い運転手が発砲事件を起こしてしまい、というあたりの展開はいくらアメリカが銃社会だといって映画みたいにどかどか発砲していいわけではないのを改めて教える。

割と静かな場面が基調にしているのでときどき入る暴力描写が強いアクセントになるのと、アーバン系でまとめた色調は、ちょっと「ゴッドファーザー」風。

黒幕の存在とか警察・検察の腐敗といったありがちな展開ではなく、それぞれ果たすべき仕事を果たしているのだが結果として人の足を引っ張り合うような構造になっているのがわかる。陰謀史観とか誰かがすべてを操っているのだといった社会の見方よりリアルで甘いようで甘くない。
(☆☆☆★★)



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アメリカン・ドリーマー 理想の代償@ぴあ映画生活

映画『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』 - シネマトゥデイ

10月23日(金)のつぶやき

2015年10月24日 | Weblog

レニー・ブルース #1日1本オススメ映画 権力と偽善を毒舌で叩き続ける代わりに度重なる逮捕と麻薬で自滅する芸人をダスティン・ホフマンが名演。ボブ・フォッシーらしい毒気と、白黒撮影の見事さ。 pic.twitter.com/7spToQ1Vqv

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作り方に「まずは頭蓋骨を用意します」って書いてあるサラダ、初めて見た・・・ pic.twitter.com/rUbP1RU732

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 10729 RT

「仕事が進まないのにツイッターしてる時間はあるんですね」と漫画家を責める編集者の話を聞いて震えているが、1日の会話がコンビニでの「温めますか」「お願いします」だけ(温め不要な時は会話すらない)の孤独な在宅ワーカーにとって、ツイッターは「会話」である
会話すら許されないと言うのか

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 4949 RT

【本棚登録】『パチンコ「30兆円の闇」―もうこれで騙されない』溝口 敦 booklog.jp/item/1/4093797…


映画上映前のCMというのはただでも腹立たしいのに、二回同じのをやるというのはいいかげんにしてくれと思う。MITSUKOSHIのだよ。


炎628を見ずに死ぬのは、
戦争映画を見ずに死ぬのと同じ。

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 5 RT