prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「コクリコ坂から」

2011年08月16日 | 映画
冒頭、初めてビデオカメラを持った人がやたらと風景をなでるようにパンしてまわる、いわゆる壁塗りパンみたいなカメラワークがちょこちょこ見えてどうなることかと思うが、食事の用意の丹念な描写あたりから、これは「画を」見せるのではなく、「画で」見せる作りだとわかってくると調子が整ってくる。

東京オリンピック(1964年)の前年の横浜ってビルらしいビルなどあまりなく、商店街には平屋建ての家が多く並ぶ。
丹念に手をかけての再現と思えるけれど、「上を向いて歩こう」が流れたりしてもノスタルジックな調子は案外薄い。

旧制高校の男子寮みたいな建物(ただし、男女共学で女子の出入りも禁じてはいないのが戦後の匂い)と、哲学などの部活に、教養主義の残滓を嗅ぐ。

「ゲド戦記」が父親殺しから始まったの続いて、これは父親探しの話でもあるのでイヤでも宮崎父子の関係をだぶらせてしまうわけだが、単純に実の父を探すというのではなく、恋人が実の父を探し当てることが、ヒロインにとっても父を見つけることにもなるというかなりねじれた構造。

もっとも、ジブリブランドを抜きにして見れば(というのはムリだが)、普通に佳作という感じ。
(☆☆☆★)

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