prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「カティンの森」

2011年05月31日 | 映画
視点を頑ななくらい、事件の真相がわからないまま、二転三転するいいかげんな説明だけ聞かされてただ待たされている人たちに固定しているので、情報としてのカティン事件を知るという点ではかなり制限されている。
ラストの虐殺場面にしても、どうやって殺されたのか知ったのか、という点ではあまりはっきりしない。護送されている犠牲者の手帳に残った手記が画として再現されるのだが、途中から白紙のページがずっと続くようになる。どうやって殺されたのかは当然記録できなかったわけで、虐殺した方の証言が出てくるわけでもなく、方法論とすると不徹底なのだが、父親をこの虐殺でなくしているワイダとしては虐殺の光景を出さずにはいられなかったのだろう。

もう少し「有名」な事件、たとえばナチのホロコーストなどだったら、その時どうなったのかある程度知っているから白紙のページがずっと続くシーンや割れた墓石などの暗示性能がもっと効いただろうが。