イラクのカフェ(ガソリンスタンドも兼ねたわけあり人間のたまり場)で働いているアフガン出身の少年が主人公。どういう経緯で来たのか、亡命というより国連の斡旋で避難してきたらしいのだが、極端にセリフが少なく、説明を排し外面を写し取ることに徹したスタイルで綴られるので、なかなか全体像として何をしているのかつかみにくい。
しきりと鍛冶屋が何か叩いているので何かと思うとひどく歪んだ釘で、なんで釘など作っているのかと思うと、ずっと後になって封鎖された道路を通れないように少年の手でばら撒かれる、という具合に、描写のひとつひとつが独立していて、そう簡単につながらない。
それが緊張感に結びついている場合と、よくわからないで退屈するところと両方。
背景になっている国際情勢の複雑がよく理解できないせいもあるだろうが、わかってもそれほど違わないだろう。
(☆☆☆★)