prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ラスベガスをぶっつぶせ」

2009年08月13日 | 映画

アメリカの大学進学事情のシビアさがよくわかる。奨学金が出なくて学資ローンに頼ると、卒業後に返済に苦しんで高学歴のワーキングプアになる例も多いっていうしね。すべての価値観がマネーひとつに絞り込まれたあげく、ちょっとでも寄り道すると貧乏から抜けられなくなるみたい。よその国の話ではないが。

だから、主人公が優秀なる頭脳を手っ取り早く生かしてベガスで大儲けするというのは、たとえばウォール街に元理学系の秀才が就職して「金融工学」なんて作り出したのとも共通しているのだろう。
もっとも、金儲けのもとになる変数変換理論が解説される場面があるのだけれど、なんだか腑に落ちない。根本的なところですっぽ抜けやゴマカシがあるのではないか。

稼いだ金を預金しないで、屋根裏に隠しているというのは税金対策かな。いくらなんでも無用心だと思うのだが。
実際の話としては、数学を生かしてベガスで荒稼ぎした学生たちは映画のように白人ではなく、東洋系だったらしい。映画では一人だけ東洋系を申し訳のように出していましたけれどね。

カジノのシーンで、ステディーカム移動やトランプやチップのどアップのモンタージュをやたらと重ねているのは、動きの少ないギャンブルの描写に変化をつけるためかもしれないが、ちょっと目にうるさい。
ローレンス・フィッシュバーンのカジノの見張り番が貫禄で、しかも割と人を食った役。
(☆☆☆★)