prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ワルキューレ」

2009年04月05日 | 映画
ヒトラーを殺せばいい、という単細胞的行動主義から踏み出して、そのあとどうするのかというフォローの方がむしろ重要で、爆破そのものは成功したあとのヒトラーが死んだのかどうか正確な情報が出回るまでに次の手を打たなくてはいけない時間との追っかけがスリリング、史実からして結末がとうぜんわかっていても飽きさせない。

情報の流通のかなめである逓信部で、飛び込んできたとんでもないニュースにタイピストの女性たちがひきつったようにおずおずと手を挙げるあたりや、どちらにつくか決断する部長と部下の軍曹のやりとりなどの見せ場が散りばめられていて、直接作戦と関係ない連中がいやでも巻き込まれるサスペンスになっているのも面白い。情報が目に見える形でやりとりされていた時代ならでは。

ナチスの制服や飛行機などのデザインとともに、主にブルーを基調にした中にハーケンクロイツの旗が赤くずらっと並んでいるあたり、画面のカラーデザインもよくできている。

トム・クルーズも身体障害者になった姿で思い切りよく好演していて、それぞれナチスに反発する軍人たちが史実だとプロシャ貴族出身が多かったらしいという格式を感じさせるキャスティングなのもいい。
(☆☆☆★★)


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