prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」

2008年06月26日 | 映画
他人に対する無関心と無責任、鬱憤晴らしのバッシングが全体の動機になっているので、見ているこちらにも思い当たるところがあり、胸に手を当てて考えさせるところがあるのが優れている。政治家の無責任はもちろんだが、それを選んだのは国民だと今更ながら思わせる。比べてには性格が違いすぎるが「バッシング」みたいな作りより訴えるものは強い。
冒頭の被援助国の田舎道を装甲車が走ってくる冒頭から、真相に結びつくまでの展開の段取りの厚み、ツイスト、キャスティングの生かし方など大いに見ごたえあり。

チェスを使った犯人とのやりとりは着想がいい割に、ちょっと盤面を地図と重ねて見るには図柄が荒いような気がして、納得するより先に展開の勢いで押し切られる感じ。
東京マラソンのスケール感もよく出ていて、こういう大群衆を生かしたロケの迫力と社会性とを交錯させた映画としては銀座の真ん中を渡哲也を大金を持たせて走らせたのをカメラマンのスクラムが囲んで追った「誘拐」('97)があったが、全部無許可で強引に撮らざるをえなかった当時とではかなりロケの自由さが十年ちょっとで進歩したのがわかる。
(☆☆☆★★)


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