prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ザ・マジックアワー」

2008年06月24日 | 映画
台本もカメラもライトもマイクもなくて、それどころかスタッフがまるでいなくて映画の撮影現場ですと言われて信じる奴、いくらなんでもいるものかと思うのだが、気にしない気にしないという感じでパスしてしまっている。舞台ならいいかしれませんけど、ちょっとひっかかっらずにいられなかった。

こっちもあらばかり探してみているわけではなくて、かなり笑って見ていたには違いないけれど、映画の上に乗った映画というのは、けっこうぐらぐらして落ち着かないのです。
色んな映画の引用が当然たくさんあるわけだけれど、そんなに見ていて楽しいものではなくて、むしろ気恥ずかしい。

セットデザイン(種田陽平)が昔のフランス映画のようでもあり、昔のバタ臭い日本映画のようでもあり、それでいて現代のアイテムも混ざっているといった微妙な線を表現している傑作。エンド・タイトルのバックがこれの建て込み風景というのも納得。

どうでもいいけど、エンド・タイトル見ていると助監督に「宮崎駿」という名前の人がいましたね。
市川崑そっくりの人をよく連れてきたな、と思ったらなんとご当人なのにびっくり。
あと、あれだけ宣伝でテレビ出まくっていた三谷幸喜のタイトルが横二列のうちの一つ、スクリーン全体だと四分の一というちんまりとした佇まい。

「マスターズ・オブ・ライト」からの引用になるが、マジック・アワーは太陽が沈んで暗くなるまでの20分くらいの光の状態で、映画では「天国の日々」('78)で監督のテレンス・マリックが撮影のネストール・アルメンドロスに要求した時に使ったことから広まった言葉。
この微妙な時間帯を生かす撮影そのものは同書でも挙げられた「黒い罠」('58 監督・オーソン・ウェルズ 撮影・ラッセル・メティ)をはじめ、「暗殺のオペラ」('71 監督・ベルナルド・ベルトルッチ 撮影ヴィットリオ・ストラーロ)でも狙っていたし、インド映画「黄昏」('91 監督G・アラヴィンダン 撮影シャージ)ではなんと全編これで撮っていた。
(☆☆☆★)


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