prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男」

2006年01月08日 | 映画
すこぶる知的な戦争映画。ただ、キューブリックみたいに徹底して冷徹に突き放しているわけではない。主人公同様虐殺の現場に足を踏み入れることはない分、ヒューマンな感覚を残している家族の姿が甘く見えてしまうのが怖い。映画で戦場の悲惨さを再現しきれるかどうか、またへたに残酷な場面を出すと客がそれを「楽しんで」しまいかねないという問題は残るが。

素材勝ち。映画の裏に張り付いている現実のグロテスクさに笑うとともにげんなりする。ラストの展開の皮肉が強烈。アメリカで製作資金が集められなかったわけだ。
「世界にある銃は五億五千挺」「戦争で死ぬ九割は銃によるもの。銃こそ大量破壊兵器だ」など、事実を知らせる台詞にインパクトがある。とどめが、「世界で武器を最も輸出しているのは、米英仏露中の五カ国。国連の常任理事国だ」というラストの字幕。

ヴィジュアルも魅力あり。撮影のアミール・モクリはイラン人。光の当て方に独特のセンスがある人。
ニコラス・ケイジがいつのまにか髪の毛ふさふさになって登場。エンド・タイトルを見たらMr.Cage's hair-dresserというのがちゃんといるのが可笑しい。
(☆☆☆★★★)



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