万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

トランプ前大統領暗殺事件は推理の対象

2024年07月15日 12時28分41秒 | 国際政治
 一昨日の7月13日、次期大統領選挙の最中にあって、トランプ前大統領が銃撃されるという暗殺未遂事件が発生しました。銃弾は右耳を貫通しており、わずかでも同大統領の動きが違っていたら、おそらく演説の壇上で命を落とす事態に至ったことでしょう。同事件については、容疑者である二十歳の青年が既にシークレットサービスにより射殺されており、真相解明は困難な状態にあります。

 同事件にあって幾つかの疑問点や不審点があるとすれば、まずもって犯行の動機が分からないという点です。報道に因りますと、学業優秀であったトーマス・クルックス容疑者は、18歳の成人年齢に達した2019年の9月には、共和党有権者登録を行なっているそうです。ところが、前回大統領選挙の際に発生した国会議事堂襲撃事件後には、民主党の支援団体に寄付をしており、その政治的な立ち位置は曖昧です。このため、民主党陣営のために最大のライバルであるトランプ大統領を物理的に排除しようとしたとする説が最も有力ではあるものの、共和党陣営による自作自演説も囁かれることとなりました。否、クルックス容疑者の共和党と民主党との間を行き来するような‘コウモリ’的な行動からしますと、二頭作戦を得意とし、全世界の選挙を裏からコントロールしようとしている世界権力のメンバーであったとする見方もあり得ないわけでもありません。

 また、同暗殺未遂事件がクルックス容疑者の犯行であるのかも、100%確定しているわけでもありません。確かに、‘クルックス容疑者が倒れていた場所から殺傷能力の高い「AR15型」の半自動小銃を押収された’とは報道されています。同小銃からは8発の銃弾が発射されたとされますが、トランプ大統領の右耳を負傷させ、周囲の聴衆までをも死傷させたのが、同銃弾であったとも限らないのです。

 日本国にあって安部元首相暗殺事件が発生した際にも、銃弾は、山上容疑者が使用した手製の筒型散弾銃ではあり得ない軌道を描くと共に、身体の被弾状況も銃創にしては軽度であったとされています。こうした不自然さから、山上容疑者は、‘犯人役’を担ったに過ぎず、真の下手人は、ビルの屋上に潜んでいた高度な狙撃訓練を受けたスナイパーであり、使用された銃も、銃弾が極めて小さな特別な銃であったとする見解もあります。今般のトランプ前大統領暗殺未遂事件にあっても、100メートル以上離れた場所からの射撃であり、かつ、貫通したとされる同大統領の右耳の傷は、銃弾を受けたにしては小さく、かつ、破損の程度も軽いとの指摘があります。仮に、クルックス容疑者が使用したとされる自動小銃ではなく、別の方角からプロの手によって銃弾が極小化された特殊な銃器で撃たれたのであれば、不自然とされた創傷にも合理的な説明が付くのです。

 加えて、精神が不安的な状態にあった‘二十歳前後による青年の犯行’という犯人像も、山上容疑者とクルックス容疑者の両者に見られる共通点です。アメリカにあっては、しばしば銃乱射事件等が起きますが、その際、必ずと言ってもよいほど‘精神不安定な青年’が犯人として報じられています。同年代の青年は、特定の思想や宗教に心酔し、暗示や洗脳を受けやすいのでしょうが、そのためか、誰もが、このステレオタイプの犯人像に納得してしまいがちです(単独犯説に疑問が呈されない・・・)。言い換えますと、同年代の青年は、犯罪に際して‘ダミー役’として利用されやすい立場にあるとも言えましょう。

 仮に、暗殺用に開発されたと推測される特別な銃器が使用され、実行犯としてのスナイパーが存在していたとすれば、トランプ前大統領暗殺未遂事件は、組織性が強く疑われることとなりましょう。果たして、真犯人は別に存在するのでしょうか。かつて、ジョン・F. ケネディー大統領が暗殺された際に、公式見解とされたオズワルド単独犯説にも、今日に至るまで疑問が付きまとっています。否、同事件に関する情報の国家機密扱いこそ、同説が事実に反することの消極的な証拠かも知れません。事実であれば、非公開とする必要性など全くないのですから。そして、オズワルド容疑者もまた事件後に殺害された点からしますと(口封じのため?)、今般のトランプ前大統領暗殺未遂事件も、その背後には、ケネディー大統領暗殺事件と同様に、CIAのみならず、モサド、MI6、中国の国家安全部やロシア連邦保安庁等の他国の情報機関や工作組織が関わっているのかもしれませんし、その上部にあっては、計画の立案・決定者としての世界権力が潜んでいるとも推測されるのです。

 もっとも、現状にあっては、そもそも、同暗殺未遂事件が、失敗であったのか、成功であったのか、何れとも判別できない状況にあります。このため、何れにせよ、ケネディー大統領暗殺事件や安部元首相暗殺事件のように、今般の事件も迷宮入りとなったり、真相解明が妨害される可能性が高く、各国政府もマスメディアも、真相究明に務めるパフォーマンスを見せながらも、クルックス単独犯説で押し切ろうとすることでしょう。しかしながら、同事件は、組織的謀略や陰謀である可能性だけは極めて高いと言わざるを得ません。今後の大統領選挙の行方に少なくない影響を与えるのみならず、第三次世界大戦へと糸を引く世界権力の姿も見え隠れする今日、陰謀や謀略の可能性の否定は、誘導されるリスクを高めるのみとなりましょう。ここは、一般の人々こそ、冷静かつ客観的な立場から同事件の裏に潜む政治的意図を推理すべきではないかと思うのです。

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