サムイズダート・ロシア

めざせロシア式菜園生活!ダーチャごっことロシア&北海道のお話あれこれ

スタハノフごっこ

2010-03-31 | ロシアコラム
なぜかライン作業の手伝いに駆り出され、スタハノフ運動とはかくやと思わせる貴重な経験を得る。やる気満々のご近所のT子らと、まずは形からとエプロン、マスク、ホカロン持参で現場に乗り込めば、出鼻をくじかれるトラブルの数々にいきなりの立ち往生。こんなことでは間に合わない!

ノルマ達成に燃えるたちの我々は、いまどきの若い衆のゆるい仕事ぶりが我慢ならん。ああすればもっと効率が上がるのに!こうすれば現場の士気が上がるのに!と言いたいところをグッとこらえ、いやがらせのように早ワザに磨きをかけていく。すると面白いもので、しゃかしゃか手を動かし、きりきり立ち回る者が隣にいると、たとえ普段ドン臭い人でも遅れまじと必死についてくるものである。なんだ、やればできるじゃないか。

そこで次にT子が編み出したのが、わんこそば大作戦。工場ラインのオートマチック作業と同じ流れを手作業で再現すべく、作業を終えた者の前に間髪入れずに次なるモノを配給し続けるのである。するとどうだ。ライン中間部の者たちは、下流に流しても流しても上流から新たなモノが補給されてくるので、逃げ場がなくなり手を休めることが事実上不可能となった。少しでも止まれば自らの首を絞めることになるため、休憩を言い渡されても誰一人手を止めようとはしなかったほどである。

こうして一人、また一人と優秀な「スタハノフ労働者」が誕生し、1分あたりの生産ノルマを最終的には1.6倍まで高めることに成功したのであった。そろそろ終わる頃かとタイミングを見計らい、「やあ、ご苦労さん!」を言いに社長が現場に到着したとき、労働者たちは予想より2時間早く作業を終え、三々五々帰っていったあとだったという話である。

……で、つくづく思ったのは、ソ連の五ヵ年計画は、それなりに意義のあることだったということ。ロシア人みたいに勝手気ままなのんびり屋集団は、そうでもして囲いこまなくちゃ同じ方向を向いて働くまいて!
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする