サムイズダート・ロシア

めざせロシア式菜園生活!ダーチャごっことロシア&北海道のお話あれこれ

魔法使いたちの宮殿

2007-06-01 | ヴァルシェブニキ・ドヴァラ
5月8日正午。ナタリアさんとホテルロビーにて待ち合わせ。
いよいよヴォロネジ本番。夢の子供たちと会える時がきた。
ナタリアさんは『ヴァルシェブニキ』の音楽監督ヴィタリーさんの
奥さんであり、元歌手。楽曲の歌詞を手がける作詞家でもあるが、
本業はインテリア雑誌のディレクターだ。
彼女とヴォロネジ大学の学生さんの案内で、市内観光へ。
…って、こんなことまでしてもらっていいのだろうか??

14時になったところで、学生さんは大学に帰っていき、
ナタリアさんの車で録音スタジオ「ブラックボックス」へ。



廃屋のような建物の奥に、薄明かりのともるスタジオ。
そこではヴィタリーさんとサウンドエンジニアのイーゴリさんが、
女子組トップのオクサーナ・ヴォイトヴィチの新曲『ドルフィン』
のレコーディング中。レコーディングといってもCDを出すわけではなく、
あしたのコンサート用。ロシアのステージは口パクが基本なのだ。
ガラス越しに見えるオクサーナは、想像していた以上にオトナ!



「ハハハハ~♪」と何度も自分で歌ってみせるヴィタリーさん。
それにくらいついていくオクサーナは、まだ12歳。
ワンフレーズ録音してはモニターで何度も確認。
「いいビブラートだ!」とようやくOKが出て、録音終了。

スタジオをあとにして、車でヴォロネジ鉄道駅前へ移動し、
ヴィタリーさんの幼馴染みが経営するレストラン「ヴォヤージュ」へ。
着いてびっくり!2階のVIPルームに通される。
ここでナタリアさんは息子マクシムくんの保育園お迎えのため、
一時中座。その間にヴィタリーさんにインタビューをしつつ、
ボルシチ、サラダ、川魚の料理などをごちそうになる。
またまたこんなによくしてもらっていいのだろうか!?

 美味~!

18時すぎ。ヴィタリーさんの車で「青少年会館」到着。
この場所はすでにネットで何度も見たことがある。


ここぞ『ヴァルシェブニキ』の本拠、
直訳すると「子供と青年の宮殿」である。

船の形を模した3階建ての建物内には、広い吹き抜けホールに面して
いくつもの部屋がある。クラシックからロシア民謡まで、
さまざまなジャンルの青少年音楽グループが、各部屋を使用。
そのうちの何部屋かが『ヴァルシェブニキ』の専用であり、
4歳から15歳まで、300人の子供たちが、
ヴォーカルや振付けを担当する11人の教師に学ぶ。

そこに登場したのは『ヴァルシェブニキ』の十数人の精鋭たち。
真っ赤なトレーナーを着て、ひときわ目をひくのは、
トップソリストのヴラッド・クルツキフくん。これはもう、
赤い服のせいとかじゃなく、生まれもったオーラのせいだ。
でも、写真や映像で見ていたより、はるかに幼くてちっちゃい!

そして、ボリショイ・ザル(大ホール)でリハーサルが始まる。
ホール後方の席からヴィタリーさんが指示を出す。
一列目は誰と誰、二列目は誰と誰……。
そうか。コンサートによってフォーメーションが違うのか。
慣れないポジションに立った子は、振付けもおぼつかない。
容赦なくヴィタリーさんからダメ出しが飛ぶ。
ヴィタリーさんは普段は物腰柔らかだけど、このときは別人。
でもひるまず、「ヴィタリー・イワノビッチ!」と
意見を出す子もいて、共にステージをつくっている感覚である。


このもようについては、Kくんのもうトマラナイ発狂寸前レポート
『中庭への道』
をご覧いただくとして……。

ここで書いておきたいのは、
客席でじっと見守っていた子供たちのパパやママの存在だ。
いわゆる「ステージママ」とはちょっと違う。
「保護者」としてそこにいるのがごく自然で当然な感がある。
後日、この「参観する父兄」の写真をロシア女性Sさんに見せたところ
「あたりまえでしょ!」と言われた。
「これは夜でしょ?子供には送り迎えが必要でしょ?
どうして日本では子供を夜ひとりで歩かせるの?信じられないわ!」
確かにこの日、リハーサルが終わったのは午後9時すぎ。
両親がタンボフという町に引っ越して、ヴォロネジ市内の親戚の家に
帰るというジェニスくんは、お迎えがないので
ヴィタリーさんがわざわざ車に乗せて送り届けていったっけ。
子供をちゃんと子供扱いして、大人たちで守る国。
ロシアの健全さにまたひとつ触れた。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする