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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

究極の生涯学習は「老い」を考えること

2023-12-05 23:28:55 | Weblog

 

 そろそろ年賀状作成の準備を始めて、これまでに届いた喪中はがきを整理しました。

 今のところ15通の喪中はがきが届いていますが、なんとその中で亡くなられたお身内の年齢が百歳だったというハガキが3枚もありました。

 なんと5分の1が百歳の大往生!

 長生きの時代になりました。

 その一方で、ご兄弟が60代で亡くなられたというハガキも混じっていて、ここから先の寿命は、早くに亡くならなければ90歳以上の長生きになるという印象です。

 厚生労働省が公表している「令和3年簡易生命表」によると、男性のゼロ歳の平均余命(=寿命)は81.47歳で、女性の場合は87.57歳なのだそう。

 この表では5歳ごとの各年齢の平均余命を算出しているのですが、90歳の男性では4.38歳、同じく90歳の女性では5.74歳とされています。

 令和3年の調査データとなるとまだcovidの影響が残っているようですが、それでも90歳の方の半分は100歳近くまで生きるということですね。

 最近はネット記事でも本の販売でも、高齢者向けの者が非常に多くなっていますが、半分は「老いに逆らおう」というもので、半分は「老いを受け入れよう」という感じに思えます。

 これから成長を迎える若い時であれば、肉体を鍛えて「こんな体になろう」という意思があって自らをコントロールできればそれは非常に高い確率で実現するでしょう。

 しかし「老い」となると、「こんな風に生きたい」と思っても、思わぬ形で病や不具合が襲ってくるもので、それはおよそコントロールできないのが悲しいところです。

 それでいながら、これから歳を取るという事をあまり勉強もせずになんとなく不安を抱えているという事が多いのではないでしょうか。

 老いの生涯学習とは、食生活や体の健康に気をつけることだけではなく、介護や医療・年金の制度を学んだり、頼りになる病院をみつけておくことだったり、家の中を老いた自分向きに備えておくことなども含まれます。

 そしてそのうえで、残された人生をどのように燃やすのかを考えることでもあるでしょう。

 生涯学習の極めつけは、老いに向かう備えなのだと思います。

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良き住民であることは良きお客 ~ やはり嫌われない方が良いに決まってる

2023-12-04 22:35:54 | Weblog

 

 そろそろ雪の季節です。

 今年も除雪を乗り切らないと行けないところですが、バスやトラックの運転手さんが不足している、というニュースが話題になっているように、実は除雪をしてくれる人たちも高齢化/減少の憂き目にあっています。

 そもそもバスやトラックならば、今度はいつ運転するという予定が経ちますが、除雪となると今夜降るか降らないかが微妙な時などはひたすら待機しなくてはなりません。

 当然お酒は飲めないし、一たび出動となれば深夜/早朝になるわけで、じりじりしながら行く・行かないの指示を待つこともしばしばです。

 最近は自治体さんを訪問して「もっと効率的な道路管理のために民間を上手に活用してはどうですか」という宣伝と営業をしていることから、特に地方の小都市で重機を運転して除雪をしてくれる人の高齢化と減少を憂いています。

 しばしば聞かれるのが住民からのクレームで、冬になると自治体によっては普段は3本しかない電話回線を20本に増やして維持管理ではない他の部局から人員を割いてもらって苦情対応をしているなどと言う話も聞きます。

 自治体の方に訊くと、「そういうクレームがあればまずは現場に行って状況を見て住民の方の話を聞きます。なかには(これはもっともな注文だな)と思うこともありますが、その一方で(この程度のことでも行政に言ってくるんだなあ)と嘆かわしくなるものもあります」とのこと。

 住民は税金を払っているから行政が住民サービスをするのは当たり前だと思うのかもしれませんが、負担している税金に見合ったサービスを受けようと思うと、そのバランスがちょっと悪いようにも思います。

 …とそこまできて、かつて同じようなことを私自身のブログで書いたことを思い出しました。

 調べてみると2015年1月のブログで、タイトルは「客が選ばれる時代~除雪者の声を聞け」というものでした。

 ブログの後半部分にこんな文章が出てきます。

 

   ーーー【2015年1月10日 ブログ 「客が選ばれる時代~除雪者の声を聞け」よりーーーー

 https://blog.goo.ne.jp/komamasa24goo/e/c094ee67aff8f74cc6cca528f2e42fe7


 …「やっぱり作業は大変ですか?」と、今度は作業の大変さを訊いてみました。

 すると、「賃金も安いし夜は寝られないし、冬の排雪ならだれもやりたがらないよ。うちは元請けの夏仕事をやっているんでその付き合いだよ。まあ元請けさんとこの部長さんがすごくいい人だから、その人でもってるんじゃないかな」

「いやなお客もいますか」
「いるね。玄関前に少し残った雪を『なんでこれも持っていかないんだ』って電話する人とか、『いつくるかを紙に書いて事前に配ってくれ』とかね。とてもそこまではやっていられないってことを理解してくれない」

「そういうクレーマーはどうするんですか」
「いま受け元には『ブラックリストを作ってくれ』って言っているよ。『三回クレームが来たら、次の年は契約しないでくれ』ってね」

「それはすごい!」
「でもね、本当に数軒なんだけど受け元に『いつもやってくれる方は本当によくやってくれるので感謝しています』って電話をくれる人とか、行くたびに温かい缶コーヒーを皆の分用意して待っていてくれる人もいるのさ。それを見ると、(ああ、ここだけはやってあげなくちゃなあ)と思うんですよ」


 そういっているところへダンプが戻ってきたので会話は終了。再び雪を積みだす作業が始まりました。

 それにしても、作業を頼む客の側にブラックリストが作られるかもしれないというのはちょっとした驚きです。

 売り手市場か買い手市場かで考えると、除雪事業者はどんどん減っていてこのままではサービス自体が買おうと思ってもどこもやってくれない時代が来るかもしれません。

 良い客でなければサービスを買うことすらできな時代と言うのは面白い。世の中、何でもお金で解決できると思ったら大間違いなんですね。

 良い客、というよりも他人のことを思いやれるような、真っ当な人間として生きていきたいですね。


  ーーー【以上】ーーー


 住民は行政がサービスをするのは当たり前だと思っていても、行政も実際の作業は民間企業に委託をしているわけで、人員が少なくなる中であまりに負担が多ければ「その場所は外してくれ」とか「そのエリアは受けない」という主張をするようになるかもしれません。

 民間vs民間の契約であれば上記の記事のようにやんわりと外されることもある時代に、「まさか行政はそんな事をしないだろう」と思っても、いつ何時どんなことが起きるかはわかりません。

 地域を支えてくれている人たちを下に見たりさげすんだりするような態度は絶対に良いことではなく、やがてはしっぺ返しを食らいかねないということも理解した方が良いでしょう。

 行政もそのあたりでトラブルになることをあまりに恐れすぎているのではないでしょうか。

 良き住民であることは良き客であることと同じです。

 売り手市場になりつつある業界事情の行く末を案じて、わがことと思うような姿勢が必要なように思います。

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懇親会を新たな出会いの場として大切に

2023-12-03 23:02:34 | Weblog

 

 昨日の都市計画学会北海道支部研究発表会では、すべてのプログラムが終わった後で別会場で懇親会を開催しました。

 会場は北大構内の「オープンイノベーションハウス エンレイソウ」で、当日裏方を務めた支部役員のほかに、基調講演の中西さん、さらに研究発表をしてくれた学生さんたちも格安参加費で参加してもらいました。

 大体この手の発表会やイベントというものは、イベント本体はネタ振りの時間であって、その後のこのような懇親会にこそ妙味があるというものです。

 発表会の進行は、発表が10分でその後に質疑応答が5分というやり方で、こんなに短い質疑応答時間では深いやり取りはできません。

 そこで、この懇親会という時間こそが、発表者に対して会場では時間がなくて聞けなかった質問をしたり、意見交換でさらに議論を深めたりできる場になるわけです。

 関係者は人生経験、研究者経験の長い人が多いので、意見交換をする中でお互いにインスパイアされて新しい視点が得られたり、意外な発見があることも稀ではありません。

 また知らない者同士が名刺交換をすることで新しい関係を作り上げることができるのもこういう場です。

 なので、「こういう場面に参加しないのはつくづくもったいないなあ」と感じることが多いので、私はできるだけ参加するように努めています。


     ◆

 
 今回の会場である「オープンイノベーションハウス エンレイソウ」は北大構内の北12条界隈にあって、生協の中央食堂隣にある建物です。

 以前は札幌市内の有名ホテルがレストランを経営していたのですが、コロナ禍もあって撤退し、その空間をリニューアルしたのが今の空間になっています。

 ここは本学の学生さんのみならず、他の学校の学生や高校生、高専生、さらには企業・自治体関係の人たちも登録をして使うことができるのだそう。(2024年1月からは学外者は有料になりそうという情報あり)

 コワーキングスペースでは、いすやテーブルを自由に動かして様々な用途に対応した空間使いができます。

 また2階にはしっかりした会議室もあって、よりクローズな会談の場として使うことができます。

 また入館のためには事前に顔認証登録が必要で、それをパスしないとドアが開かないという新しいセキュリティシステムも導入されているそうです。

 営業時間は年末年始や法定点検日を除いて基本的に朝8時から夜11時までとのことで、非常に使える時間が長いのが特徴です。

 もちろんフリーWifiもあり、学生さんであれば気分を変えた自習にも最適と言えるでしょう。

 自分が学生の時にこういうのがあったら…、もっと勉強したかもしれませんねえ(笑)


     ◆


 先週の北部九州旅から始まって、今週は週初めから稚内~静岡~東京、そして土曜日もこの学会と、まあ移動と人に会うことが集中した二週間でした。

 これらの予定は夏から決めていたものや直前に決まったものまでいろいろなのですが、面白がって予定を組んでいるうちにタイトで移動の多いスケジュールになりました。

 連日人に会って夜は一杯という予定にもなっていて、体力が持つかちょっと心配だったのですがなんとかクリアできました。

 もっとも12月と入り、今度は年末の挨拶廻りに営業周りも兼ねることになるのでまた忙しくなりそうです。

 雪も降ってきて周りでも事故の報告が増えてきました。

 今年もあと一か月、無事に乗り切りましょう。

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これが私の道東ライフ ~ 道東の人たちをつないだ「.doto」の中西拓郎さん講演

2023-12-02 23:10:54 | Weblog

 

 日本都市計画学会北海道支部の研究発表会が12月2日(土)にありました。

 地元の大学や社会人を対象に、都市計画やまちづくりに関する研究を発表して良い論文は支部表彰を行うという、しっかりした発表会です。

 この日は9本の論文発表で、AIやビッグデータを活用した調査研究など新しい切り口のものも見られ、本数が少ない割には質の高い論文が多く充実した発表会となりました。

 発表会の後にはいつも基調講演として地域での面白い話題をしていただくのですが今回は、道東エリアを対象に、地域課題の解決のために様々なプロジェクトを手掛ける一般社団法人ドット道東の仕掛け人である中西拓郎さんをお迎えして、地域での様々な活動について「理想を実現できる道東にする『マス・ローカリズム』の実践」というタイトルでご講演をいただきました。

 中西さんは北見出身の35歳、一度は北海道を出たものの2012年に北見市にUターン。

 そこで市内のデザイン会社に勤務した後底を退社して一般社団法人ドット道東を設立し、いまはそちらの代表理事でありプロデューサーとして活躍されています。

 このドット道東が注目されたのは、2019年に道東のアンオフィシャルガイドブック『.doto』を作るためにクラウドファンディングを始めたところ、ネット経由で様々な支援者、協力者が現れて、資金だけではなくライターや写真など様々な知恵や能力を持ち合わせた人たちが集まってきたことです。

 クラファンで340万円を集めることに成功して印刷物として発刊した『.doto』は初版の5000部が一カ月で完売、その成果が日本地域コンテンツ大賞にて地方創生部門最優秀賞(内閣府地方創生推進事務局長賞)に輝きました。

 その活動は中小企業白書で紹介されたり、その結果学生の注目企業2021ではトップ200に入るなど、注目度合いを高めています。

 ガイドブックを作った目的は、共通言語を見立てて共通体験を作っていくことだったのですが、作成過程ではフリーランスの人たちが出会って、最初5人から始まって(いまは8人)が周りに声をかけて「皆でガイドブックを作ろうよ」というのが始まり。
 
 クラウドファインディングの見返りは「5千円の支援をしてくれれば『.doto』の手伝いができるという権利(笑)」というとんでもないものでしたが、なんと「かばん持ちやる」「一肌脱ぐ」という支援者が48名も集まり、編集部が突然100人以上になったのだそう。

 編集は部隊をチーム分けして、チームごとに好きなやり方で提案してもらって最後にガッチャンコしたのでテイストの違うページが沢山あるけれど、最後のコピーは「道東で、生きている。」で、これが気に入っているとのことでした。


      ◆


 中西さんの言う、「マス・ローカリズムの実践」とは、「地方社会が自主的な意思決定を行い、地元の文化やアイデンティティを重視するアプローチ」であり、「地域コミュニティの積極的な参加と、地域資源の最大限の活用が特徴」というものだとのこと。

 中西さんは北見に住んでいて、「道東にいる」というと、「北海道には行ったことがあります。函館や札幌は良いところですよね」とは言われるものの、道東はただ北海道の東側で、アイデンティティや文化が存在しないと思われているのではないかと良く思ったそうで、「自分自身自虐的に"(札幌)じゃないほう"と言ったりしています(笑)」と笑います。
 
 しかしこのガイドブックの発刊で、道東の中に向けた情報発信のつもりが逆説的に域外に伝搬し、『地元向けのニッチ情報 → ニッチを求める域外の読者 → 域外からの評価高まる → 地域の読者がさらに増える → 地元向けニッチ情報(先頭に戻る)』というサイクルが回り始めました。

 中西さんは「磨くではなく、あるもの・いる人・できることを掛け合わせるプリコラージュ(自分で修繕する)的な付加価値の創造」だし、「共通言語を見立てて共通体験を作っていくことなのだと思っています」とおっしゃいます。


      ◆


 私は中西さんの話を聞いて、釧路にいたときに地元釧路新聞の「巷論」という欄に書いた文章を思い出しました。

 今改めてそれを引っ張り出してみて、私も当時「道東は道東で良いのか」と書いていました。

 当時から「道東」というと「北海道の東側」というイメージを与えてしまうのが残念で、新しいエリアブランドという認識をすべきだ、というものでしたが、私の場合は口先だけだったので、中西さんのような具体的な行動に移すことができませんでした。

 SNSやクラファンなどの新しい社会ツールの登場でやりにくかったことができるような時代なんだな、と感慨もひとしおです。

 道東がさらにもっとたくさんの光の当たる地域になるよう願っています。


  【釧路新聞「巷論」平成24年10月9日】
 

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