稚内在住の画家、高橋英生先生が札幌のギャラリーで個展を開いておられます。
ちょうどこの週末は高橋先生と奥様が個展会場にいるというので妻と義母と一緒にやってきました。
個展会場は中島公園近くの南9条西6丁目にある「ギャラリー創」で、会場には約二十点ほどの作品が展示されていました。
会場へ入ると高橋先生も奥様も暖かく迎えてくださって、絵についていろいろなお話を聞かせてくださいました。
今回は夏の草花と冬景色が主なモチーフで、特に夏の草花にはシロツメクサとアカツメクサ、つまりはクローバーが多く描かれています。
画面いっぱいにクローバーが同じ緑でも濃い緑や薄い緑、黄色い緑や暗い緑など様々な緑が使い分けられていて、どれくらい根を詰めた作業だったのか想像もできません。
「先生の絵は最初から『こう描こう』と決めて描かれるんですか?」
「いいえ、野の花を最初からきちんと描こうとして下絵を描いたりすればそれは造花でしょう。自然の姿というのは我々の予想もできない姿になっているものですから、ぱっぱっと緑を置いてみてそれから『あ、これが良いなあ』というのを残してみたり描きこんでみたりするんです。まあ偶然と必然の重なり合いですね、自然なんてそういうものでしょう」
「一度に何枚もの絵を描かれるんですか」
「うーん、一気に描き上げるものもあれば、少しずつ描き足してゆくものもありますね。今回の案内状のために描いた作品は二週間くらいで描き上げてしまったのですが、一度迷い始めると気に入らなくて何度も塗り重ねたりもしますよ」
「今回の絵の中で先生が『これが一番いいな』と思っているような作品はあるのですか」
「いいえ、それは買ってくださる方が決めるものだと思います。買われる方こそずっと身近に置いても飽きないような絵を選んで買われるものです。だからよく『遠近法が…』とか『バランスが…』とか小ざかしい評を言う人がいますが、絵を買われる方が一番の批評家ですよ(笑)」
会場の一番奥に、緑や黄色、赤を配色した秋の山の紅葉を思わせる作品がありました。
(これも素敵だな…)と思っていたら、奥様が「これが何の絵か分かりますか」と話しかけてくれました。
「え…、山の紅葉かと思いましたが…」
「これ、イタドリなんですよ」
「ええ!あの憎き雑草のイタドリですか。こんな赤や黄色の色味が出るんですか」
「ええ、稚内の方はこれをみてイタドリの色身というと納得される方が多いんですよ」
イタドリなんて、秋になると茎が茶色くなって木のように固くなる植物で、道路管理の立場からはあまり好きになれる植物ではありません。
しかしそんな植物でも見方一つで素敵な絵になる。しかも稚内だからこそなのかもしれません。
変な予見を持たずに、自然は素直な目で見るのが良いのですね。
高橋英生先生の個展は明日までです。
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