北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

引っ越しができなくなる時代が来る?

2024-03-29 23:13:50 | Weblog

 

 年度末の挨拶廻りをしていると、転勤や退職で引っ越しをするという方がいます。

 転勤族にとっての引っ越しは2~3年に一度必ず訪れる試練ですが最近はその様相も以前とは様変わりしてきました。

 なにしろ人出不足で業者さんが来てくれない、見つからないということで、まずは業者さんを探すのが一苦労。

 おまけにそれゆえ需給バランスが崩れてお値段も爆上がり中です。

 私が現役の頃はそんなことはなかったので、いくつかある引っ越し業者も相場観があって大体どこもこれくらいの料金でやってくれるという感覚がありました。

 引っ越しの料金は職場が勤務年数と役職などから算定し、それに本人と家族が移動する旅費を加えた、決まった額が支給されるというものでした。

 なのでうまいこと安く引っ越しができれば多少は浮くけれど、逆に高い引っ越し業者を使っても超過分のお金は出ませんよ、ということでした。

 その頃から一般の会社に勤めている友人からは、「引っ越し料金は領収書を会社に出せばそのとおり支給されるから楽だよ」と言っていて、うらやましいな、と思ったものです。

 ところが何年か前から引っ越し料金が軒並み値上がりを始め、それに官算定の支給額では足が出るという事態が生じていました。

 ある友人は「何年かに一度、上の都合で動かされておまけに引っ越しの足りない分はお前の給料から出せ、というのは真面目な職員への懲罰だよな」と憤っていましたがそれは当たっていたと思います。

 そういうことを反映してようやく数年前から官庁でもかかった分を支払うという形になってきたようですが、それでもその条件は3社以上の業者から見積もりを取って、一番安い価格で支払うという一艇の縛りがあります。

 社会に暮らしている以上、ルールがあるのです。
 
      ◆

 先日訪ねたところには、道央の地方都市から道東の地方都市へ転勤になるという後輩職員がいました。

 彼は「幸い4月1日に現地に荷物を届けてくれる業者が見つかりました」とそこは安心していましたが、「でもその業者を探すまでが大変でした」と言います。

「料金の見積もりを出してもらわないといけないのでしょう?」と訊くと、「そうなんですが、電話しても『うちはあなたのところに営業所がないので引っ越し業務はできないし見積もりも出しません』ということで、地方都市ではそもそも業者がみつからないんです。最後は『見積もりを出しません、と一筆くれませんか』とお願いまでしてようやく3社分の形を作りました」とのこと。

 おずおずと「お値段は…?」と訊くと、「いやあ77万円でした」
「77万円!? 道内の移動で? ひゃあ」

 家族は奥さんとの二人連れでの引っ越しとのことですが、それにしても道内の引っ越しで77万円も請求されるとは驚きです。

      ◆
 
 それこそ私が子供の頃に親の転勤で引っ越した時には、良くも悪くも職場の同僚たちが集まって手伝ってくれて引っ越し料金を安く済ませるというのが習わしでした。

 手伝ってくれた方にはちょっとした飲み物とお菓子を出すというのもワンセットで、母親はそういう用意もするのが当たり前の時代。

 なかには引っ越しの時に家具を落とされて壊されたのにそれは文句が言えない、というような笑えない話も聞いたことがあります。

 少子化と担い手不足の中で、業者の料金が値上がりしたりあるいは「手がいなくてできない」ということになると、自らの職場の職員が手伝わないといけないような直営時代がまた来ざるを得ないということもあるかもしれません。

 担い手不足はお金では解決できないとなると、どうやって担い手を確保するのかが課題です。

 いたるところにこうした問題の種が見られるようになりました。

 引っ越しができなくなる時代が来るのかなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 背中で見せるのも難しい | トップ | 背中で見せる教育 ~ バスの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事